「譲れないものは、譲れない」 町田GKポープ・ウィリアムが今季初出場の際に見せた“漢”

大分に所属していた昨季、J1リーグ戦で培った経験が大きいという【写真:(C) FCMZ】
大分に所属していた昨季、J1リーグ戦で培った経験が大きいという【写真:(C) FCMZ】

クオリティーの高さを感じたJ1の舞台に再び立つために

 結局、山口戦は1-3での敗戦となったが、続く第14節の水戸ホーリーホック戦(0-0)からは、ポープが正GKを務めることになった。第16節では、この時首位に立っていたアルビレックス新潟に2-1で勝利している。ビッグセーブを見せて、昇格を争うライバルからの勝ち点「3」獲得に貢献したポープだが、過剰に喜ぶことはなかったという。

「ただ新潟に勝ったというだけで、一喜一憂してはいません。僕らの目的は、J1に昇格すること。長い目で見て、どれだけチームとして積み上げられたか、どう戦えたのかを考える方が大事です。2年前、岡山で試合に出させてもらった時は、自分のプレーばかりに集中していて、チームが勝てなくても、自分がいい仕事をしていればそれで良かった部分も多少ありました。でも、今は、自分個人のパフォーマンスよりも、チームがどういうサッカーをして、どういう勝ち方をしたのか。どういう状況で、どういうプレーをするべきなのか。どういう立ち居振る舞いをしたのか。そういうことばかりを考えています」

 そんな境地に至ったのは、昨シーズン、大分でJ1のピッチに立った経験が大きいという。

「実際に試合に出て感じましたが、J1とJ2だと、やっぱりクオリティーが違うんです。J1は、1つ1つのプレーの成功率が高く、単純なミスが少ない。ファーストタッチの置く位置だったり、持っている選択肢の多さだったり、迫力も『少しでも気を抜いたらやられるな』と感じるクオリティーの部分は、やっぱり高かった。一刻も早く、そこに辿り着きたいし、もう1回チャレンジしたい。それだけの選手個々のクオリティーは、町田の選手たちには間違いなくあると思います」

 前半戦を終えて町田は7位。8勝6分7敗と、ギリギリ勝ち越している。この成績について、ポープは「少し負けが多すぎます」と言い、「負けるというのは、ゴールを取られているからであり、後ろの責任。僕自身もクオリティーの部分を突き詰めないといけないところが多くあります。もちろんチームありきですが、最終的に勝敗を分けるのは、選手のクオリティー。僕ならゴールを守ることですし、FWなら点を取りきることになってきます。そこを一番大事にして、僕自身もっともっと勝ち点を取れる選手にならないといけないと感じています」と、さらなる成長を誓った。

 選手として、より高いところを目指す守護神は、よりストイックに自分と向き合う。また、1月には結婚し、生涯の伴侶も得ている。

 さらに正GKと控えGKの立場が逆転したが、福井もポープに対して、常に助言をして、励ましてくれている。

「本当に光輝とは、いい関係を築けていて、互いに感じたことを、食事に行って話したりして、互いに感じたことなどの情報を共有してやれています。一緒に戦っていると、すごく感じられます。光輝もサブで悔しい思いはあると思いますが、試合直前もアイツが一番声をかけていたりする。そういう姿を見ると、『俺ももっともっとやらないといけない』と刺激になりますし、切磋琢磨しながらも、同時に支えにもなってくれています」

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