左SB争いに名乗り! A代表デビューの伊藤洋輝、日本代表OBが称賛した「武器」は?
【専門家の目|栗原勇蔵】左SBから一気に前線を狙えるフィード力は大きな武器
森保一監督率いる日本代表は6月2日、キリンチャレンジカップで南米のパラグアイ代表と対戦し、4-1で勝利した。A代表デビューを飾った23歳のDF伊藤洋輝(シュツットガルト)は、先制点の起点になる正確なフィードを送るなど堂々たるプレーでアピール。元日本代表DF栗原勇蔵氏も「一気に左サイドバック(SB)の争いに名乗りをあげた」と評価している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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伊藤は昨年6月、ジュビロ磐田からドイツ1部シュツットガルトへ期限付き移籍すると、センターバック(CB)を定位置にスタメンの座を掴み、今季リーグ戦29試合1ゴールをマーク。その活躍ぶりから完全移籍に切り替わるとともに、6月シリーズの日本代表メンバーにも初選出された。
A代表デビューとなったパラグアイ戦で左サSBとしてピッチに立った伊藤は、開始早々に絶妙なタイミングで上がった流れで左クロスからMF堂安律(PSV)のシュートチャンスを演出。さらに前半36分には、自陣から正確なフィードを前線のFW浅野拓磨(ボーフム)へ供給し、その流れから先制ゴールが生まれた。
後半はCBとしてプレーし、守備面では1対1の局面では力強いデュエルで堂々と渡りあったうえ、絶妙なタイミングからのインターセプトでピンチの芽を阻止。自らのパスミスからパラグアイにゴールを許す場面こそあったものの、これがA代表デビューであることを感じさせないプレーで、チームの勝利に貢献した。
元日本代表DF栗原氏も、伊藤に関して「A代表初出場とは思えない落ち着きでした」とポテンシャルの高さを評価する。
「初の舞台でもプレーが落ちないのはポテンシャルの証。上背もスピードもあって、彼が最終ラインに入ってくることでいろんな可能性が出てくる。特に、ボールを持った時に一番遠いところから前線にパスを出せるのは大きい。浅野にしろ、三笘(薫)にしろ、パスに合わせて動き出せるし、相手のディフェンスからすると前に出られなくてすごく厄介です。長年、左SBのレギュラーを務めてきた長友(佑都)にはない武器です。今後、ブラジルのような強豪との試合で、カバーリングなども求められる状況でそこまでできるか。それでも、一気に左SBの争いに名乗りをあげたし、仮に左に伊藤、右に冨安(健洋)、センターバックに吉田(麻也)と板倉(滉)と並んだら、かなりの脅威の最終ラインになると思います」
伊藤が6月シリーズでさらにアピールを重ねられるかにも注目だ。
栗原勇蔵
くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。