【検証】浦和レッズ、9戦未勝利をどう捉えるべきか? アイデア任せの手法に潜む懸念「阿吽の呼吸で崩すようなところがない」
【J番記者コラム】明らかに不足する得点力不足…下位低迷の原因を紐解く
浦和レッズは5月28日のJ1リーグ第16節、アビスパ福岡とのアウェーゲームを0-0の引き分けで終え、3月の代表期間明けから6月の代表期間入りまでの9試合を8分1敗という成績で終えた。明らかに不足する得点力不足について、リカルド・ロドリゲス監督を長く知るMF岩尾憲は「個人のアイデアや閃きに任せている部分がある」と、現在の手法について話している。
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浦和は福岡戦で、最前線にFW松尾佑介を配置して背後へのプレッシャーをかけつつ、両サイドに幅を取って福岡の守備陣を広げながら前進した。その機能性は十分と言え、敵陣に入り込むところまではスムーズにボールが運ばれた。
しかしながら、ラスト30メートルほどの崩しから仕上げにかかるエリアでは明らかにスムーズさと機能性が落ち、本当にビッグチャンスと言える場面は前半5分に松尾のシュートのこぼれ球をMF明本考浩が狙ってゴールポストに嫌われた場面くらいだった。
ロドリゲス監督は試合後の会見で「試合を支配する部分ではかなりのもので、相手にほぼチャンス作らせなかった。危険なところもなかった。チャンスも多く作れていたと思う。引いた相手、福岡という堅い相手を崩すのは容易ではない。ミドルシュート、ポスト、ニアサイドからゴール前をボールがすり抜けていくものもあった。ただ、ボールがゴールに入っていかない」と嘆き節だった。
しかし、ボールをスムーズに運んでいる割にいい形でのシュートシーンが少なさ過ぎるのは事実だろう。それは16試合を終えて15得点。無得点が8試合という数字がハッキリと示している。
シーズンが開幕してすぐの2月や3月のゲームでは、本当に最後の決めるだけのところでミスショットによりゴールを逃す場面もあった。しかし、この4月や5月は指揮官の言葉ほど具体的なチャンスが多い試合はできていない。最後のところで、前がオープンな状態でシュートを打てるチャンスを作り出す回数は明らかに減っている。
その課題へのアプローチとして、トレーニングから細部にこだわっていくのか、それとも最後の崩しは選手に任せる割合が多いのか。徳島ヴォルティス時代に4シーズンをロドリゲス監督と過ごし、今季から浦和でプレーしている岩尾は指揮官の手法について「どちらもできるタイプだとは思う」としたうえで、浦和でのやり方をこう話した。
「どちらかというと多用しているのは、個人のアイデアとか個人のやりたい閃きに任せている部分が多いと思う。この現実を見ると、それも大事にしてほしいですが、はっきりしたある程度のパターン化ではないけど、動きの連動率を固めたうえで応用として個人の閃きを取るほうが、選手にとって分かりやすいのではないかと感じることもある。ただ、選手もアイデアや個性を尊重してもらっているのだから、個人で解決するならしてフィニッシュにいかないといけない。それが難しいなら違う提案をしていくべきだと思う」