WEリーグ初年度が終了 浮き彫りになった多くの課題…浦和L監督も指摘「自己満足になってしまう」

浦和Lの楠瀬直木監督【写真:Getty Images】
浦和Lの楠瀬直木監督【写真:Getty Images】

WEリーグ初年度はINACが優勝、浦和L2位、ベレーザ3位で終了した

 日本女子サッカー初のプロリーグ「WEリーグ」は5月22日に各地で最終節の試合が行われて最初のシーズンを終えた。すでにINAC神戸レオネッサの優勝が決まっていたなか、三菱重工浦和レッズレディースと日テレ・東京ヴェルディベレーザによる上位対決は2-2の引き分けに終わった。

 このカードは昨年9月、WEリーグ全体の開幕カードにもなった日本女子サッカーの強豪対決。0-0で折り返した後半、ベレーザが2点を先制するも浦和が追いついて引き分けに持ち込む試合展開で、浦和が2位、ベレーザが3位で初年度を終えた。

 今季、プロリーグとしては異例の奇数チーム(11チーム)でスタートした。そのため、シーズン全体の中で半分になる11節終了時と、最終22節終了時にしか各チームの消化試合数が揃わない。ほとんどの節が終わった時に順位表は暫定となり、各節1チームずつが試合のない状況だった。これをリーグでは「WE ACTION DAY」と名付けた社会貢献活動をチーム単位で行う日とした。

 5月14日に国立競技場で行われたINACと浦和の試合後に会見した岡島喜久子チェアは、参入時点で条件を満たした11チームから増やすか減らすかの調整が困難だったとし、その社会に訴える活動による意義を強調した一方で「次の機会には偶数でやりたい」とコメント。この最終節はちふれASエルフェン埼玉に試合がなかったが、これが優勝争いに影響を与える可能性もあれば、開幕戦や最終節といった持ち上がりに参加できないチームがあるのには不公平感もある。

 そして、男子のJ1にチームを持ち、リーグの中では観客動員力のある浦和の最終戦でも観衆は2423人にとどまった。浦和の楠瀬直木監督は、新しくチームが立ち上がった中で力をつけたチームがあることも含め、競技面については「ポテンシャルがある」と話した。一方で、興行の部分についても試合後の記者会見で触れて話した。

「当初11チームで始まった中で新しいチームがどうかというのもあったけれども、どんな選手たちか把握していたつもりでも、しっかりとしたコーチ陣が入ること、午前中の明るい内にサッカーをするという環境の中でどんどん力をつけて、なでしこリーグになかった強豪が出てきた。競技のところでのポテンシャルはすごくある。ただ、興業の部分で言えば知名度のこともある。今日も2400人くらい。できれば5000人、年に数回は1万人が来るような興行にしないと自己満足になってしまうのではないか」

 まずは1シーズンを終えたところから課題と反省をリーグ全体として見ていくことになるだろう新たなリーグだが、試合数に対するシーズンの長さ、約3カ月になるウインターブレークの活用方法といった要素も指摘されてきた。今後、どれだけの発展を見せられるのか各チームだけでなくリーグとして成長していく部分も必要になるといえそうだ。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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