堂安律がオランダで掴んだ名声 ドイツ移籍報道も「PSV内部の評価は高い」…現地の“リアル評”とは?
【海外発コラム】PSVで存在感を発揮、堂安の今シーズンを総括
4月17日、PSVアイントホーフェンがアヤックスを2-1で下し、KNVBカップを獲得した直後の記者会見のことだった。ロガー・シュミット監督は「今季のPSVは成功した」と言い切った。
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「春まで欧州の舞台を戦い、オランダリーグでは2位に付けており、まだ優勝を狙える(※4月17日時点)。そして、KNVBカップで優勝した。これを成功と呼ばずして何と呼ぶのか」
“欧州の舞台”とはベスト8に残ったUEFAヨーロッパカンファレンスリーグ(ECL)のこと。PSVはレスター・シティ(イングランド)とのECL準々決勝第2戦(同15日)で、1-2と逆転負けを喫してしまった。それから中2日という厳しい日程でKNVBカップ決勝戦を迎えた。
「カンファレンスリーグから間もなかったので、今日の決勝戦ではフレッシュなエネルギーを注ぐことがポイントになった。堂安律……」。一拍置いてから指揮官は続けた。「ブルマ、フェルテッセン、ファン・ヒンケルといった途中出場の選手たちが本当に頑張ってくれた」
堂安の出番はPSVが1点をリードしていた後半23分から。その10分前にハーフウエーラインの手前に立って交代を待っていたが、味方が負傷したことを受け、再びベンチに戻っていた。
一度、高めた気持ちを鎮め、もう一度途中出場する準備をするのは難しいこと。しかし、堂安はスムーズに試合の流れに溶け込み、アヤックスの左サイドのキーマン、MFダレイ・ブリントを封じ込め、攻撃面では何度もキラーパスを出してチャンスを創出した。
交代要員としてパーフェクトに近い働きをした堂安の名前を真っ先に挙げてから、しばらく間を置いてほかの選手にも言及したシュミット監督の気持ちが伝わってきた。
右SBマウロ・ジュニオール(本職はMF)、MFエリック・グティエレス、堂安の3人は、今季のPSVおけるサプライズとしてファンやメディアを喜ばせた。事情はさまざまだが、これまでPSVでは力を発揮できなかった選手たちだ。
堂安には昨夏の東京五輪出場という事情があったものの、彼らは開幕からしばらくレギュラーの座から外れていた。しかし、昨年10月半ばから下旬にかけてPSVが調子を落としたこと、そしてレギュラー陣に負傷者が相次いだことから、この3選手に加え、さらにFWブルマ、FWカルロス・ヴィニシウスといった控え組に出番が回ってきた。
のちに「驚異のBチーム」の異名を頂くことになる彼らは、「Aチーム」のダイナミックなサッカーとは違ったテクニカルなサッカーを11月から12月末にかけて披露。しかも彼らのおかげでPSVは復調し、首位の座をアヤックスから奪ってウインターブレークを迎えた。
特に堂安は毎試合のようにオランダメディアで大きく扱われた。かつての名選手たちがメディアでどう語っていたか紹介しよう。
中田 徹
なかた・とおる/1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグなどを現地取材、リポートしている。