J1序盤戦終了、今季の“優勝”争いはどうなる? 鹿島、川崎、横浜FMに“ダークホース”のチーム力分析

柏で活躍するFW細谷真大【写真:小林 靖】
柏で活躍するFW細谷真大【写真:小林 靖】

11戦未勝利で最下位の神戸は深刻な状況もロティーナ監督の下で“復活”なるか

 その浦和に増して深刻な状況にあるのが神戸で、11試合で未だ勝利がなく、暫定ながら最下位にあまんじている。もともと個人のビジョンに依存する度合いが強いので、開幕時に複数の怪我が出たのは痛かったが、そこは遅かれ早かれ問題になるところではあった。そうした状況を脱する意味で、三浦淳寛前監督に代わり、ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督に白羽の矢を立てたこと自体はポジティブに評価できる。

 問題はチーム作りにかかる時間だ。ACLの直前に就任したこともあり、タイで合宿を張る様な形になったことは神戸とロティーナ監督にはメリットだが、指揮官はもともと1つ1つ細かいロジックを組み上げてチームにしていくタイプなので、結果と成長という2つのテーマをどうこなしていくかは未知数な部分が大きい。

 戦力的なポテンシャルは間違いなく高いので、そこを指揮官が損なうことなく、戦術的な機能性を加えていけたら、後半戦に向けてチームが加速していく可能性もある。そのためにはイニエスタやセルジ・サンペール、大迫勇也、酒井高徳、山口蛍といった経験豊富な選手だけでなく、これまでサブだった選手や若手の奮起は不可欠だ。ロティーナ監督の戦術をいち早く理解して、主力を脅かしていく様な選手の台頭に期待したい。

 ただし、神戸はもはやJ1のリーグタイトルを目標にするのは現実的ではないので、まず残留ラインにしっかり乗せながら決勝ラウンドに勝ち上がっているACLを含めたカップ戦でタイトル獲得を目指していくこと。特にACLの出場権を得られる天皇杯は狙っていきたいタイトルだろう。

 序盤戦で快調なスタートを切ったのが、柏レイソルとサガン鳥栖だ。柏に関してはやはり昨年、チームが停滞して残留争いに巻き込まれただけでなく、複数の主力選手が移籍し、一部報道ではネルシーニョ監督との確執も噂された。しかし、一方で経験豊富な指揮官はアカデミー出身の生え抜き選手を含む若手にチャンスを与えて、同時に戦術的なモデルチェンジを進めていたところもある。振り返ると相手に退場者が出て流れが好転した試合もあったが、ボールを握るところ、カウンターで攻め切るところの判断が良く、選手交代を含めて試合の要所を逃さないゲーム運びが結果につながっている。

 ただ、課題としてはボールを握るところから得点まで行くシーンがほとんど無く、結局はマテウス・サヴィオや細谷真大の推進力を生かすショートカウンターが得点源であることから、相手に読まれてきているところがある。J1は押し並べてチームスタッフの分戦力が優れており、主力に疲労が出てくる夏場や相手がレイソル慣れしてくる2巡目の対策を講じていくこと。そして鵜木郁哉や升掛友護、森海渡など若手のさらなる成長なくして、2弾ロケットを発車することはできないだろう。それでも、ここまでの戦いぶりは特筆に値することは間違いない。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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