三笘薫に通じるタレント力 磐田・高卒ルーキー古川陽介はプロ1年目から活躍できるか

パリ五輪に向けて所属クラブでコンスタントなアピールが必要

 また、川崎からベルギーのロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズに移籍したMF三笘薫についても「タイミングの取り方とかがけっこう似ている」と語り、目標にしている選手の1人であるようだ。素走りはそこまで速くないと本人も認めるが、ボールを持った時の加速は素晴らしく、一瞬裏を取られるとディフェンスの選手はなかなか付いていけない。

 静岡学園では試合でも練習でもどんどん仕掛けろと言われて、練習が終わったあとにもずっと1対1をやっていたという古川。そうした武器をうまく発揮できれば、2列目にタレントが多いジュビロでも1つ違いになってくることは疑いない。

 ただ、やはりFW大津祐樹、MF大森晃太郎、MF山田大記、MF金子翔太、大宮アルデージャから加入のMF黒川淳史、さらにFWジャーメイン良もポジションとしては3-4-2-1のシャドーで起用される可能性がある。ジュビロの強みは、細かいコンビネーションで相手の守備を崩せること。さらに昨年はヴァンフォーレ甲府を指揮した伊藤彰監督は戦術的な立ち位置や守備の要求もかなり厳しくなるはずで、当面の予想としては5枚の交代枠を生かしてジョーカー的な役割を担うのではないか。

 高卒ルーキーなので、当面はそれでも周りの経験ある選手に支えてもらいながら、ゴールやアシストにつながるプレーができれば、Jリーグでも大きな注目を集めるだろう。ただし、古川としても目標の1つは2年後のパリ五輪になってくる。そこまでの飛躍を見込むならば、1年、2年のうちに経験のある選手たちからポジションを奪って行くような活躍を見せて、五輪代表の大岩剛監督にアピールして行く必要がある。

 古川に対する期待としてはまずジョーカーとして結果を残して行くこと。その流れで戦術的なタスクも学んで、徐々にスタメンの機会を増やして行くことになる。新シーズンのJ1がかなり過密日程になるなかで、ルヴァンカップを含めたスタメンのチャンスも出てくるはずだが、ひとっ飛びでレギュラー定着というよりは、与えられた時間で1つ1つ課題をクリアしながら経験と結果を積み重ねて行くことが最適ルートにも思える。

 磐田には古川のような生粋のドリブラーはいないが、技術や攻撃センスが高い選手が揃っている。そういう選手たちと競争しながらも学んで、吸収して行くことで、第一の武器であるドリブルに加えてプレーの幅が広がって行くはず。ただ、あくまでも武器はドリブルなので、そこの強みはブラさず突き進んでいくことを期待している。
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(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)



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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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