ポゼッションにもカウンターにも変幻自在! ウェールズのEURO躍進を導いた“ハイブリッド型”戦術

ベルギーは後半猛攻もシュート精度は激減

 シュートのデータを見てみよう。ゲーム支配率を反映するかのように、前半のウェールズはシュート10本、そのうち8本はペナルティーエリア内からのシュートだ。枠内シュート率は50%とそれほど高くはないが、その分シュートの絶対数が多くなっている。一方のベルギーは6本のシュートを放ちシュート精度は80%と非常に高くなっている。

 ところが、後半になるとそのデータが一変する。ウェールズのシュート数は前半の半分の5本だが、シュート精度は75%に上がり、前半5本あったヘディングシュートは1本しかなかった。ベルギーは支配率が25%高まったにもかかわらず、シュート数は僅か2本増えただけ。しかもシュート数自体は増えながら、精度は80%から14.3%に激減している。

image6

 パスのデータも、前半と後半では大きく異なることが分かる。ウェールズは前半280本あったパスが、これもほぼ半分の141本に減少。相手陣内のパス数においては171本が約3分の1の59本、アタッキングサードでのパス数は89本が24本と、それぞれ激減している。アタッキングサード侵入回数、ペナルティーエリア侵入回数、オープンクロス数、相手ゴールに近づくプレーのデータは、例外なく減少している。唯一増加しているのがロングパスの比率だ。8.9%から22.7%に増えた。

 もちろん、ベルギーはその逆だ。オープンプレーのクロス数のみが前後半ともに14本だったが、それ以外、特にアタッキングサードでのパス数は47回から119回、侵入回数は16回から34回、ペナルティーエリア侵入回数は10回から30回とそれぞれ激増している。

image7

 

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング