中学1年で競技スタート→Jスカウトが獲得熱望 「一番下」から異色のキャリアを辿った“高校ナンバーワン”DFの凄み

尚志高校、3年DFチェイス・アンリ【写真:安藤隆人】
尚志高校、3年DFチェイス・アンリ【写真:安藤隆人】

【コラム】アメリカ人の父と日本人の母を持ち、ずば抜けた身体能力を誇る“逸材”チェイス・アンリ

 “冬の風物詩”高校サッカー選手権の記念すべき第100回大会が、12月28日に幕を開ける。注目タレントが集うなかで、“高校ナンバーワン”CBとして注目されるのがDFチェイス・アンリ(尚志高校、3年)だ。中1から本格的に競技をスタートさせた逸材CBは、いかにして高校サッカー屈指のタレントに成長したのか——。

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 今大会で「高校ナンバーワンのDFと言えば?」と問われたら、真っ先に尚志高校、3年のDFチェイス・アンリの名前を挙げる。アメリカ人の父と日本人の母を持ち、187センチの高さとスピードなどずば抜けた身体能力を誇るCBだ。

 圧倒的な空中戦と対人の強さ、前に出るスピードやターンスピード、カバーリングスピードにも長け、右足から放たれるロングフィードは多彩で正確。多くのJクラブスカウトが獲得を熱望するチェイス・アンリの凄みは、前述したものだけにとどまらない。

 高3だが3月生まれという点と、サッカーを本格的に始めたのは、アメリカから日本にやってきた中1から。CBも高校に入ってからという異色のキャリアを辿った点に、ポテンシャルの高さを感じさせる。

 サッカー界において、早生まれの選手の希少価値は高い。同じ高3の選手でも4月生まれと3月生まれではほぼ1年違う。つまり高3だが、4月生まれと比べて身体的や技術的な部分の成熟度の差がある。

 裏を返せばそれだけ伸びしろがあることを指し、本格的にサッカーを始めた時期が遅く、CBになった期間が短いにも関わらず、これだけのパフォーマンスを見せられると言うことは、とてつもなく大きなポテンシャルを秘めている大器と言える。そうした要素も彼の評価を高めている1つの要因だ。

「ジャンプ力だったり、パワーの面では負けてはいけないと思っていますし、仮に勝てていてもそこで満足をしてはいけないと思っています」

 彼の原動力は上手くなりたいという純粋な気持ちにある。アメリカではサッカーは遊びとしてやっており、他にもバスケットボールや水泳、野球にも触れた。中学進学時に日本にやってきて、神奈川の中学でサッカー部を選択。本格的な競技人生がスタートした。

「最初は僕以外全員がうまいと思った。一番下だなと思ったからこそ、ここから練習をして周りからどんどん学んで成長したいと思った」

 福島県の尚志高に来たのも、高い意識を持っていたからに他ならない。「寮生活で親元を離れて、サッカーに打ち込めば上手くなるし、自立できると思った」。そして、尚志では身体能力の高さを評価され、CBにコンバートされた。当時のことを仲村浩二監督はこう振り返る。

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安藤隆人

あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、柴崎岳、南野拓実など、今の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』(徳間書店)など10作を数える。

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