久保建英の成長したポイントは? 地元紙記者2人が前半戦&マジョルカ飛躍の鍵を分析

マジョルカでプレーするMF久保建英【写真:Getty Images】
マジョルカでプレーするMF久保建英【写真:Getty Images】

【スペイン発コラム】マジョルカ在住記者2人が見た久保の現状とクラブ最新事情

 2シーズンぶりにスペイン1部昇格を果たし、改めて日本代表MF久保建英を期限付き移籍で獲得してトップリーグ定着を狙うマジョルカ。新年最初の試合となる2022年1月2日の第19節バルセロナ戦でリーグの折り返し地点を迎える。ともに16年以上にわたり地元紙で活動している2人のスポーツ記者に、これまでのチームの戦いぶり、久保の現状などについて話を聞いた。

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「チームは、10点満点で7から7.5。『優』を付けていい」と語るのは、マジョルカの地元紙「ウルティマ・オラ」のカルロス・ロマン記者だ。理由は1部残留ラインの勝ち点40の半分、勝ち点20をすでに手にしているから。「アウェーの3試合を除けば内容のあるいいプレーをしていて、久保が決勝点を決めたアトレティコ・マドリード戦に象徴されるようにチームはどの相手にも勝てるということを証明した」と評価している。

 一方、チーム採点がやや厳しいのは地元紙「ディアリオ・デ・マジョルカ」のセバスティア・アドロベール記者だ。「採点は6.5から7」の「良」。「2部から昇格したチームとしては十分な数字だが、足りないものがある。それは残留争いでライバルになる複数チームに引き分けたこと。特にホームで勝ち切れなかったのは残念」だとしている。

久保建英のトレーニング中の様子【写真:島田 徹】
久保建英のトレーニング中の様子【写真:島田 徹】

 今季ここまでリーグ戦10試合1ゴールの久保についてアドロベール記者は「2年前にいた時より選手として成長が見られる。判断の早さ、的確さがその1つ。以前は闇雲にドリブル突破を仕掛けていた感があったが、今はそれがない」としている。同記者は前半戦の成長株として韓国代表MFイ・ガンインを挙げており、「久保とガンインの2人はチーム一番のタレントで、いい選手は試合に出なければならない」とアジア2選手の同時起用が妥当だと考えている。「確かに彼らが同時起用されることでチームはリスクを抱えることになる。攻め切れない時にチームはバランスを崩す傾向がある」と改善点も指摘した。

イ・ガンインとコミュニケーションをとる久保建英(後ろ姿)【写真:島田 徹】
イ・ガンインとコミュニケーションをとる久保建英(後ろ姿)【写真:島田 徹】

 この点についてはロマン記者も同じ意見を持っている。「戦術として順番に起用するという考え方もあるが、基本的に彼らは共存可能。彼らのどちらかをベンチに置いておくという贅沢をする余裕はマジョルカにはない。彼らが出場することでチームはフィジカル的な強さや守備力が下がるというデメリットはある。彼ら自身が改善の努力をしなければならないし、他の選手たちがどうカバーするのかというのも大事。何よりルイス・ガルシア監督がチームとしてどうバランスを取るかという解決策を見つけなければならない」としている。

カルロス・ロマン記者(左)とセバスティア・アドロベール記者【写真:島田 徹】
カルロス・ロマン記者(左)とセバスティア・アドロベール記者【写真:島田 徹】

 前半戦のマジョルカは試合の終盤、または終了前ロスタイムに失点し勝ち点を落とすケースが4回あった。また引き分け8試合はリーグ2位タイ。見方を変えれば1つ歯車が噛み合うことで勢いを増す可能性があるだけに、久保とイ・ガンインの連係強化と、そのバックアップ体制が整うことでリーグの台風の目になることも不可能ではない。

(島田 徹 / Toru Shimada)



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島田 徹

1971年、山口市出身。地元紙記者を経て2001年渡西。04年からスペイン・マジョルカ在住。スポーツ紙通信員のほか、写真記者としてスペインリーグやスポーツ紙「マルカ」に写真提供、ウェブサイトの翻訳など、スペインサッカーに関わる仕事を行っている。

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