今季レアルは「格段に違う」 アトレティコ撃破…10連勝の要因とは? 現地記者が脱帽
【スペイン発コラム】アトレティコに2-0勝利のレアル、チームの危機から優勝へ邁進
レアル・マドリードは12月12日、リーグ第17節で昨季の王者アトレティコ・マドリードをホームに迎え、FWカリム・ベンゼマとFWマルコ・アセンシオのゴールにより2-0で勝利し、2季ぶりのリーガ優勝に向けて大きく前進した。
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レアルは今夏、ジネディーヌ・ジダン監督の辞任や守備の要であったDFセルヒオ・ラモス(パリ・サンジェルマン)やDFラファエル・ヴァラン(マンチェスター・ユナイテッド)の退団などにより大きな変化を求められたなか、カルロ・アンチェロッティ監督が6年ぶりに戻ってきた。イタリア人指揮官はBBC(ガレス・ベイル、ベンゼマ、クリスティアーノ・ロナウドの3トップ)の再現を目指し、ベイル、ベンゼマ、エデン・アザールを前線に並べて新シーズンをスタートするも、ベイルの負傷とアザールの不調が重なり、その思惑は早々に潰えることになってしまった。
さらに今夏、欧州選手権、南米選手権、東京五輪が開催されたことも大きく影響し、準備不足が祟り怪我人が続出。特にサイドバックに難を抱えていたが、その状況下でベンゼマとヴィニシウス・ジュニオールが攻撃を牽引し、高い攻撃力を武器にシーズン開幕から8戦無敗をキープ。しかし疲労が蓄積されたレアルは調子を落とし、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)初出場のシェリフ、今季1部に復帰したばかりのエスパニョールに連敗したことでチーム危機が囁かれ始めた。
その直後、相手を終始圧倒する派手さはないが、粘り強く重要な場面で得点の奪えるチームへと変貌を遂げていき、一度も負けることなくマドリードダービーを迎えた。いつもどおりの4-3-3で臨み、中盤のゲームコントロール、素早いカウンター、前線の高い決定力でヴィニシウスのお膳立てからベンゼマとアセンシオが得点を記録。一方、守備では危ないシーンを何度か作られたが、GKティボー・クルトワの安定感あるセービングと、高評価を得たDFエデル・ミリトンを中心とした守備陣の奮闘により無失点に抑え、公式戦13試合連続無敗の10連勝、リーガ9戦無敗の7連勝を達成した。
アンチェロッティは試合後、「我々がプレスをかける位置はあまり高くないが、ブロックが低ければFWを使ってカウンターを仕掛けることができるので、そのほうがベストだ」と語ったとおり、前線から激しいプレスをかけず、ハーフウェーラインよりもやや低いところにチームの重心を置いて構えたことが勝ち点3獲得のポイントとなった。特に1点目は、その位置にいたMFルカ・モドリッチがアトレティコMFコケのパスをカットしたことが起点となり、速攻から生まれている。
高橋智行
たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。