「立ち止まったらもったいない」 新潟DF千葉和彦を苦境から這い上がらせた”不動のプロセス”
【インタビュー#3】名古屋での我慢の時にも常に見据えた”先のゴール”
アルビレックス新潟のDF千葉和彦は、J1リーグ通算349試合、J2リーグ通算36試合に出場し、サンフレッチェ広島時代にはJ1優勝3回を経験している百戦錬磨のセンターバックだ。2020年は名古屋グランパスで公式戦出場ゼロと悔しいシーズンを送ったが、「立ち止まっていたらもったいない」と、下を向くことなく来たるチャンスを待ち続け、今季の復活につなげた。千葉が常にポジティプ志向でいられる理由とは――。(取材・文=Football ZONE web編集部・小田智史/全3回の3回目)。
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千葉は高校卒業後に単身オランダへ渡り、2005年に新潟へ加入。06年のシーズン後半からレギュラーに定着し、計7シーズン在籍した。その後、新潟でヘッドコーチ、コーチを務めていた森保一監督(現・日本代表監督)が広島の指揮官となったのを追うような形で、12年に広島へ完全移籍。不動のリベロとして、史上4チーム目のJ1リーグ連覇(12、13年)を含む3回の優勝を支えた。
日本代表の選出歴もある千葉だが、2018年の開幕戦で右手を骨折するアクシデントに見舞われ、手術から復帰後は出場機会が激減。活躍の場を求めた新天地・名古屋でも19年は公式戦7試合(リーグ戦1試合、ルヴァンカップ5試合、天皇杯1試合)の出場にとどまり、昨季は15年ぶりに公式戦出場ゼロに終わった。それでも、千葉は「下を向く時間はなかった」と振り返る。
「まだまだ自分の実力不足だな、と。そこで立ち止まっていたらもったいないと思って、自分に矢印を向けながら過ごした2年間でした。試合に出てない時も常に試合をイメージして、プラスαで自分に必要なことをその都度考えていましたね。僕はあまり深く考えないタイプというか(笑)、もちろん試合に出られるに越したことはないですけど、出られないからといってそのプロセスが崩れることはありません。現在地よりも先に、常に“ゴール”を見据えてやっています」
アルベルト・プッチ・オルトネダ監督が率いる新潟は、ボールを保持しながら試合を支配するスタイルを追求。4-2-3-1をベースに、攻撃も守備も敵陣内で行い、失ってもすぐに奪い返してチャンスを作るインテンシティーの高いサッカーを浸透させてきた。そのなかで千葉もセンターバック(CB)のレギュラーとしてリーグ戦36試合に出場し、果敢にくさびのパスを打ち込むなど、上位争いを繰り広げるチームの中心を担ってきた。千葉の中でも、自身のプレースタイルとアルベルト監督のサッカーとの相性の良さを感じているようだ。