横浜FC、J1残留争いで天国から地獄へ暗転 海外助っ人がもたらす“恩恵”と“理不尽さ”
【J番記者コラム】福岡戦のロスタイムに事故のような失点、横浜FCが負けに等しい痛恨の引き分け
天国から地獄へ、一瞬にして暗転した。
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J1残留へわずかな望みをかけ、アビスパ福岡とのJ1リーグ第35節に挑んだ横浜FC。前節終了時点、残り4試合で残留圏との勝ち点差は6。背中を追う清水は引き分けており、負けは論外、引き分けでも残り試合数が1減っただけでほぼ意味をなさない。残留へ望みをつなぐには、どうしても勝点3が必要だった。
序盤はホームの後押しを受ける福岡のジョン・マリに当ててセカンドボールを拾う攻撃に苦戦したが、最初の飲水タイム明けからそれにも順応し、互角の戦いに持ち込んだ。後半、ボールを握った横浜FCは同10分に先制。直後はギアを上げた福岡に押し込まれたものの、福岡が同20分に選手を一挙に4人交代した後は、福岡が攻撃の形をまったく作れなかったこともあって決定機どころか1本のシュートも許さなかった。
しかし運命のロスタイム。福岡に与えたフリーキック(FK)は右サイドのハーフラインをわずかに越えたあたりで、さほど危険な位置ではなかった。前寛之の蹴ったボールに、ペナルティーエリア手前で岩武克弥がドウグラス・グローリに競り負けた。続いてエリアの中で、高橋秀人とハン・ホガンが、サンドしていたフアンマ・デルガドに競り負けた。
ボールはゴール方向に緩く飛んだ。枠外だったかもしれないが、GKスベンド・ブローダーセンが飛びついて外に弾く。それがエミル・サロモンソンの目の前にこぼれた。走り込みながら右足を強振。シュートコースに高木友也が飛び込んでいたが、シュートは明らかに枠を外してゴールエリアに向かう。駆け戻った岩武を直撃したボールが、無常にもゴールに吸い込まれていった。
競り負けている以上、失点している以上は、その場面での対応が良かったとは言えない。しかし彼らの誰もが、致命的なミスをしたわけではない。ただそれが積み重なり、最後は運にも見放された。いわゆる、事故のような失点だった。
試合前、早川監督はこう語っていた。「自分たちが本当に出し切って、それでも敗れるのなら納得するところもあると思う。ただ、自分たちは負けて納得するよりも、勝って納得することを望んでいます」と。終盤、押し込まれ続けて決壊したわけではなく、守備ラインを高く保って攻撃の形さえ作らせてはいなかった。
後半41分まで動かなかった選手交代を論難するメディアもあったが、下手に動かないほうが逃げ切れる公算が高いと見た判断も十分に支持できるものだ。それでも負けに等しい引き分け。果たして指揮官はこの結果に納得できただろうか?