久保建英は「2年前からはるかに成長」 現地記者、3戦無敗マジョルカで“躍動”と称賛

マジョルカのホームスタジアム、「エスタディ・デ・ソン・モイシュ」【写真:高橋智行】
マジョルカのホームスタジアム、「エスタディ・デ・ソン・モイシュ」【写真:高橋智行】

エルナンド記者は久保を高評価「攻撃のトリデンテが機能していた」

 エスパニョール戦、一番得意なポジションと思われる右サイドハーフでプレーした久保はキックオフから積極的に攻撃に絡み、ここ3試合で最高のパフォーマンスを発揮する。

 まず前半3分にFWフェル・ニーニョのシュートチャンスをお膳立てすると、同9分にヘディングでゴールを狙い、同21分には絶妙なスルーパスをゴール前に通すが、フェル・ニーニョが相手GKディエゴ・ロペスとの1対1に失敗。そして同43分、ペナルティーエリア外から左足で強烈なシュートを放つも、GKの好守に阻まれた。

 エスパニョールが調子を上げた後半、マジョルカは決定機を作るのに苦しんだが、久保は前半同様、右サイドを起点にゲームの組み立てに加わり、後半36分、前半と同じような形でペナルティーエリア外から左足を振り抜くも、シュートはわずかにゴール上を越えていった。

 攻撃だけでなく、守備でも観衆から拍手を受けていた久保は同41分に交代。会場中に響く「クボ! クボ!」のコールに応えるようにお辞儀をし、スタンド最前列まで走り、声をかける子供にユニフォームをプレゼントする一幕も見られた。

 ルイス・ガルシア監督は試合後、久保を右サイドに配置した理由について、エスパニョールの左サイドバック、DFアドリア・ペドロサの負傷欠場が大きかったことを伝え、「(代わりに出場した)ディダク(・ビラ)はペドロサほど攻撃力がないので、1対1で重要な役目を果たすことができるタケを右サイドに配置した」と説明。その采配が「完璧に上手くいった」と満足気に答えていた。

 この一戦での久保をスペイン各紙も高く評価。スペイン紙「AS」は翌日の紙面でMFイドリス・ババ、MFダニ・ロドリゲスとともに最高の3点をつけると、スペイン紙「マルカ」もチームトップタイの2点(最高3点)をつけ、「マジョルカはダニ・ロドリゲスのゴールと久保の素晴らしいパフォーマンスにより、エスパニョールを破った」とその働きぶりを称賛した。

 エスパニョール戦後、スペインのラジオ局「カデナ・セール」のアルベルト・エルナンド記者は、この日の久保のパフォーマンスについて、「タケ・クボは今日の役割にとても満足していると思う。2年前と比較すると、はるかに成長しているのが明らかだ。今日は多くの時間を右サイドで過ごし、強烈なシュートを打ってゲームのリズムを変え、守備も頑張り、快適にプレーしているように見えた」と高評価した。

 さらにエルナンド記者は、「タケ・クボがトップ下に入ったアラベス戦では、(ジョルディ・)ムブラの右サイドに攻撃が偏ったため、ダニ・ロドリゲスが輝くことができなかったが、今日はフェル・ニーニョの後ろでプレーしたタケ・クボ、ダニ・ロドリゲス、ムブラの攻撃のトリデンテ(みつまたの鉾)が上手くポジションチェンジし機能していた。タケ・クボは今日、とてもやりやすかったんじゃないかな」と分析している。

高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

今、あなたにオススメ

トレンド