モウリーニョ、なぜショーを執拗に批判? 毒舌浴びる本人が皮肉「彼の頭の中には僕が住み着いてしまっている」
【英国発ニュースの“深層”】マンU時代から不仲の2人、EUROでの辛辣批判にショーが反論
ルーク・ショーといえば、日本代表主将の吉田麻也の移籍初年度だった2012-13シーズンに弱冠17歳にしてサウサンプトンのレギュラーをつかみ、この年の吉田の健闘ぶりとともに、その凄まじい成長を間近で見つめた選手。筆者にとっては、とても愛着がある1人だ。
【PR】ABEMA de DAZN、明治安田J1リーグの試合を毎節2試合無料生中継!
あのシーズンはサウサンプトンにとってもプレミアリーグ昇格1年目。しかも年明けにチャンピオンシップ(英2部)から1部に引き上げたナイジェル・アドキンス監督を解任。英語が話せないマウリシオ・ポチェッティーノ監督が後任となって、周囲の不安を高めたが、アルゼンチンの青年監督が見事な統率力を見せて14位残留。2年目の2013-14シーズンは8位に躍進し、その原動力の1人がショーだった。
その活躍ぶりは、プレミアの若手MVPにあたるPFA年間最優秀若手選手賞をエデン・アザールと争って敗れたが、この年のPFA年間ベストイレブンに選ばれ、プレミアデビュー2年目の18歳にしてイングランド最高のレフトバックとなったことでも明らかだ。
もちろん、2014年6月27日にマンチェスター・ユナイテッドに引き抜かれた時も、あの左サイドを突破する推進力とフィジカルの強さ、そして利き足の左足から繰り出す強烈なクロスが、アレックス・ファーガソン監督勇退後の名門復活を助けるはずだと確信した。
しかし、これはもう海外サッカー通ならご存知のお話だが、移籍3年目にユナイテッド監督に就任した闘将ジョゼ・モウリーニョとそりが合わなかった。時折、チームの人気選手をメディア上で歯に衣着せぬ強烈な語彙でばっさりと切り捨てるのは、ポルトガル人名将の得意技ではある。
印象に残るところでは、ウェストハムの“王様”だった元イングランド代表MFジョー・コールに対し、「自分がゴールを決めたら、それで仕事が終わると思っている」と語り、献身さが足りない守備の姿勢を痛烈に批判。コールはこのモウリーニョの言葉に奮起し、運動量を上げると、その後は押しも押されもせぬチェルシーの大黒柱に成長した。
一方、ショーの場合はコールと同様、守備の甘さをガツンと批判されたうえ、「練習の姿勢がなっていない」と厳しい指摘をされて、その後は完全に干された形になった。
森 昌利
もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。