日本代表「W杯2次予選」を英記者が総括 圧倒的陣容も…なぜ鈴木優磨を呼ばないのか

2019年では10番を背負っていた中島翔哉【写真:高橋 学】
2019年では10番を背負っていた中島翔哉【写真:高橋 学】

“3年前のスターマン”中島翔哉が失墜、久保建英の存在はすべての序列を覆す

 西野朗前監督の中核を森保監督がそのまま受け継いでから、3年の月日が経過した。GKでは権田修一(清水エスパルス)が8試合中6試合で先発しているが、最終ラインの75%は盤石だ。

 酒井宏樹(浦和レッズ)、吉田麻也(サンプドリア)、冨安健洋(ボローニャ)のトリオへの依存度はあまりに高く、そのまま東京五輪代表の最終ラインに移植されることになった。依然として高いフィットネスと信頼を維持する長友佑都(マルセイユ)は、左サイドバックの一番手として先発しているが、長きにわたるレギュラーの後継者候補を探す仕事は残されている。

 遠藤航(シュツットガルト)は最終ラインのトリオと同じく、絶対的レギュラーの立場にある。柴崎岳(レガネス)のパートナー以上の存在となり、ドイツで輝く彼もまたオーバーエイジ枠で五輪に参戦することになる。

 2列目が森保監督の最も興味が集まる選択肢になる。10番を背負っていた中島翔哉(アル・アイン)こそが、“3年前のスターマン”だったが失墜した。躍動的なドリブラーは、なぜこんなことになってしまったのか。今や代表メンバー入りからも程遠く、クラブレベルでの転落劇がサムライブルーにおける運勢を著しく下げてしまった。

 右サイドは堂安律(ビーレフェルト→未定)がファーストチョイスだったが、伊東純也(ヘンク)がここ数カ月間の輝きで割って入る勢いを見せている。堂安は五輪後に再合流となるが、どちらも好印象だ。

 南野拓実(サウサンプトン)はしばらくの間トップ下で固定されてきたが、中島の転落で空白地帯となった左サイドハーフにシフトし、中央は台頭著しい鎌田大地(フランクフルト)の定位置となった。

 だが、全員を脅かす存在がいる。久保建英(ヘタフェ)だ。五輪代表を卒業し、A代表に専念となれば、稀代のタレントは2列目の序列を一気に覆すゲームチェンジャーになり得るだろう。

 選択肢充実の2列目と異なり、1トップの状況は厳しい。大迫勇也(ブレーメン)が実績も能力も抜群の1トップとして活躍を続けている。量産したゴールのみならず、前線の起点としてチームを機能させているが、森保監督にとっては現状、不動の1トップこそが替えのきかない資産だ。

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マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

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