歴代EUROと「ワンタイム・ヒーロー」 W杯では見られない意外性と“ひと夏の夢”

2004年大会ではギリシャが大番狂わせ

「フットボール・カミング・ホーム」。イングランド開催の1996年、ドイツがチェコを下して優勝。この大会としては驚きが少ないが、リベロとして抜群の働きだったマティアス・ザマーの雄姿を見られた、最初で最後の大舞台ではあった。

 2004年、優勝はギリシャ。戦術は遺跡から発掘してきたようなカテナチオ。ジネディーヌ・ジダンのフランス、ルイス・フィーゴやクリスティアーノ・ロナウドのポルトガルを破っての大番狂わせは、1992年デンマークの快挙を彷彿させた。まさかの結果に、会場にいた雑誌の編集者たちは「ギリシャでは本が売れない」と頭を抱えていたものだ。

 EUROだけで輝くチーム、選手がいる。それがこの大会の魅力であり不思議さだ。

(西部謙司 / Kenji Nishibe)



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西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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