30億円で手打ちか、300億円の損失か UEFAの欧州SLへの“最後通告”はまさにチキンレース

最悪の状況を招く前に着地点を見つけなければ名門3クラブが崩壊の危機に…

 もともと欧州SL設立は、3クラブにとって深刻化するばかりの財政難から脱却するための“ウルトラC”だったはずだ。

 ところが、その構想が予想を遥かに越える非難に晒され、あっという間に瓦解した。そのうえ、9クラブがあっという間に撤退して3クラブが四面楚歌となった。レアルのフロレンティーノ・ペレス会長が、マドリードで「今回の欧州SL設立に対し罰則を科せられない」とUEFAを起訴して、自らの正当性をアピールし、徹底抗戦の構えを見せたが、現実的にはスペイン人会長の発言、行動には全く支持が集まっていない。

 それどころか最近の報道を見ると、ペレス会長、バルサのジョアン・ラポルタ会長、ユベントスのアンドレア・アニェッリ会長の3人に対する“守銭奴の悪役イメージ”が急速に進み、どう見ても旗色は悪い。

 こうした状況で2年間の欧州カップ戦出場停止などという最悪の状況を招く前に早急に着地点を見つけなければ、大袈裟ではなく、本当にレアル、バルセロナ、ユベントスという欧州サッカー史に燦然と輝く3大クラブが、崩壊の危機に晒されることになる。

 25~30億円で手打ちにするのか、それとも全面戦争まで発展させて300億円を失うのか――。今回UEFAが仕掛けた最後通告は、まさにチキンレースのようなものだ。しかもUEFAは大型バスで、孤立したレアル、バルセロナ、ユベントスは“普通の乗用車”と言った不公平な戦いの様相も明確だ。

 ここは臆病者と言われても、ハンドルを切らなければクラブ存亡の危機。もちろん、UEFA側にも落ち度がないわけではないが、ここは3人の会長が1日も早く欧州SL撤退という正しい判断を下して、ファンを安心させてほしいものである。

(森 昌利 / Masatoshi Mori)



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森 昌利

もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。

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