30億円で手打ちか、300億円の損失か UEFAの欧州SLへの“最後通告”はまさにチキンレース
【英国発ニュースの“深層”】欧州スーパーリーグから撤退しないレアル、バルサ、ユーベにUEFAが処分を検討
ついにUEFAが、現在も欧州スーパーリーグ(SL)から撤退を表明しない3クラブに対し“最後通告”を行った。
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「ザ・サン」や「デイリー・ミラー」を始めるとする英タブロイド新聞は、レアル・マドリード、バルセロナ、ユベントスの3クラブに対し、UEFAが2年間の欧州カップ戦出場停止処分を科す可能性が高まったと一斉に報じた。
現在進行中の3クラブと欧州SL設立の関係性についての調査が終わり次第、この厳罰が下るとされているが、現実的にはこの3クラブが欧州SLからの撤退を表明し、他9クラブと同じ処罰を受け入れれば、めでたく手打ちになるという。
しかしUEFAも、レアル、バルセロナ、ユベントスの3クラブの双方とも、振り上げた拳のやり場に困っている状況で、来季のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)がリオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドのいない大会になる可能性も若干ながら残っている。
和解するには、単純にアーセナル、チェルシー、リバプール、マンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッド、そしてトッテナムのプレミア6クラブと、アトレティコ・マドリード、ACミラン、インテルの9クラブと同じことをすればいい。
撤退を表明し、公に謝罪。1500万ユーロ(約20億円)の罰金と来季の欧州カップ戦から得られる賞金の5%の合計をUEFAに収める。そして、平たく言えば「申し訳ない。2度と欧州SL設立には関わらない。もしも関わった場合は即座に1億ユーロ(約134億円)の罰金を支払う」と書かれた誓約書にサインして、再び欧州クラブ協会に再加入すればよろしい。
もちろん、賞金の5%を加算すれば、新型コロナウイルスでの減収が伝えられている昨今、日本円にして25億円から30億円となる支払いは、どのクラブにとっても痛い。
しかし、欧州SL発足が報じられた直後には、特に英国メディア上で、テレビ解説者やサッカー関係者が声を揃えて「2部リーグへの降格」「今季のプレミア放映権料の剥奪」等々、過激とも言える処分を求めていたことを考えれば、これは非常に穏便な計らいとも言える。
しかも、もしも2年間の出場停止を科せられた場合、その2年間の損失は2億ユーロ(約268億円)から2億5000万ユーロ(約335億円)に達する。
森 昌利
もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。