韓国代表MFが“日本行き”を熱望した理由 「自分より優れた選手がたくさんいる」
G大阪の新加入MFチュ・セジョンが語る移籍決断の舞台裏、元Jリーガーも後押し
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今季ガンバ大阪に加入した韓国代表MFチュ・セジョンは、中国や中東などのクラブからもオファーが届いていたなかで日本行きを決めたという。韓国代表として2018年ロシア・ワールドカップ(W杯)にも出場した実力派MFは、なぜ30歳を過ぎてから初となる海外挑戦の舞台をJリーグにしたのか。今季開幕直前にオンライン取材を実施し、G大阪移籍を決断した理由について胸の内を明かしてくれた。(取材・文=金明昱)
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チュ・セジョンにとって初めての海外挑戦の舞台はJリーグとなったが、自ら日本行きを熱望した。最大の理由は「実力の向上」にあったという。
「去年の冬に中国や中東のクラブチームからオファーがありました。そのチームに魅力がなかったわけではないのですが、これからも代表でプレーし、ワールドカップにも出場したいという目標があったので、それなら今よりももっと上手くならないといけないという考えがありました。そのためには自分よりも優れた選手がたくさんいるリーグで競い合い、学ばなければいけないと」
自分よりも実力のある中盤の選手がいる国――それが日本のJリーグだった。
「日本には優れた中盤の選手がたくさんいます。それこそ日本代表やガンバ大阪でも長らくプレーしていた遠藤保仁選手(現・ジュビロ磐田)のプレーする試合もたくさん見ましたし、チームメートの井手口(陽介)選手も代表でのプレーを知っています。とにかく日本で彼らと一緒にプレーすれば、自分も確実に成長できるという自信がありました」
ただ、そうは思っても簡単な選択ではなかったはずだ。それでも2019年からG大阪が、長らくオファーを続けてくれたことも、決断に至った理由の一つだ
「当時はFCソウルでの契約がまだ残っていたので、すぐの移籍は実現しませんでした。ただ、FCソウル時代のチェ・ヨンス監督(ジェフユナイテッド市原、京都パープルサンガ、ジュビロ磐田でプレー)には『Jリーグで挑戦したい』と伝えると、どうすれば日本でやっていけるのかなど、いろんなアドバイスをくれました。それにはすごく感謝しています」
かつて市原(当時)でイビチャ・オシム元監督などの指導を受け、Jリーグでゴールを量産したチェ・ヨンスからも力強い言葉をもらい、さらに昨年11月に結婚した妻からも背中を押された。
金 明昱
1977年生まれ。大阪府出身の在日コリアン3世。新聞社記者、編集プロダクションなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めた後、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。2011年からは女子プロゴルフの取材も開始し、日韓の女子ゴルファーと親交を深める。現在はサッカー、ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。近著に『イ・ボミ 愛される力~日本人にいちばん愛される女性ゴルファーの行動哲学(メソッド)~』(光文社)。