東京五輪世代「ポジション別最新序列」 サバイバル激化、“当確”に近づいた選手は?

MF板倉滉(フローニンゲン)【写真:Getty Images】
MF板倉滉(フローニンゲン)【写真:Getty Images】

田中碧はボランチの軸になりうる存在、マルチな板倉も当確に近い1人

【サイドバック】
○ 古賀太陽(柏)
○ 菅原由勢(AZ)
― 橋岡大樹(シント=トロイデン)
― 中山雄太(ズウォレ)
△ 旗手怜央(川崎)
○ 原 輝綺(清水)
△ 中野伸哉(鳥栖)
― 森下龍矢(名古屋)
― 中村帆高(FC東京)
― 東 俊希(広島)
― 菅 大輝(札幌)
― 岩田智輝(横浜FM)ほか

 現時点で太鼓判を押せる選手は左右ともにいない。右の格付けでは菅原が最も近いかもしれない。第1戦も個人としては決して悪くなかったが、アルゼンチンのプレッシャーのなかで、ボランチや2列目との連係には苦しんでいた。さらに快勝した2戦目のピッチに立たなかったことで、原に差を縮められたかもしれない。ただし、今回は招集できなかった橋岡も有力な存在だ。

 一方で、年末の合宿で追加招集ながら猛アピールした森下は名古屋で左SBの控えになっており、その状況を打破しないと再浮上は難しい。左は絶対的ではないが、3バック左や必要なら右SBもこなせるマルチ性を考えると、古賀の立場は限りなく当確に近いポジションにいる。

 左SBで新境地を開拓中の旗手も2戦目にはセカンドトップで途中出場しており、クラブでよほどパフォーマンスやコンディションを落とさない限り、18人枠には高確率で入ってきそうだ。成長著しい17歳の中野は2戦目の終盤でデビューしたが、残された期間で数段階評価を上げていかないと18枠に残るのは難しい。

 そのほかにも中村、東、菅、岩田と有力な選手たちはいるが、現状では厳しい立場にいると言わざるを得ない。

【ボランチ】
◎ 田中 碧(川崎)
△ 中山雄太(ズウォレ)
◎ 板倉 滉(フローニンゲン)
― 田中駿汰(札幌)
― 齊藤未月(ルビン・カザン)
△ 渡辺皓太(横浜FM)
― 松岡大起(サガン鳥栖)
― 山本悠樹(G大阪)
― 高嶺朋樹(札幌)
― 金子大毅(浦和)
― 安部柊斗(FC東京)ほか

 田中碧は中盤の軸になりうる存在だ。懸案事項だった出場停止もアルゼンチンとの1戦目で消化され、2戦目で好パフォーマンスを見せ3-0の勝利に大きく貢献した。本人はゴールやアシストがなかったことを悔やんだが、正確なパスや気の利いた展開、さらにインターセプトに加えて全身を使いながらコーチングする姿が頼もしかった。

 板倉も久しぶりというボランチで1戦目の面目躍如となった。やはり中盤の守備では無類の強さを発揮する。攻撃では相手の2ボランチの間に立つことで、田中碧に前を向いてボールを持たせるなど連係面の補完関係も良かった。ただ、本職はやはりクラブでもやっているCBであり、1戦目と2戦目でポジションが逆であれば、CBでポジティブなプレーをしていたかもしれない。いずれにしても2ポジションでき、3バックにも適応できるので、マルチな評価も加味して18人枠の当確に最も近い1人だ。

 キャプテン候補の中山も、1戦目の前半こそ守備で腰が引けたところを見せてしまったが、攻撃面のボール捌きは一昨年末のコロンビア戦の頃よりは安定していた。攻め上がりからのミドルシュートという武器もあり、左SBもオプションであることから、18人枠から外れることは考えにくい。ただし、ボランチに遠藤航など本職のオーバーエイジを使用した場合に、序列が下がる可能性はある。

 今回不参加だったなかでは怪我という理由がはっきりしている齊藤や松岡、直前までクラブが活動停止中だった山本などは今後のアピール次第で滑り込みのチャンスは残されている。一方で波多野と同じく、クラブで規律違反があった安部はかなり苦しい状況だ。

河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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