東京五輪世代「ポジション別最新序列」 サバイバル激化、“当確”に近づいた選手は?

DF瀬古歩夢(C大阪)【写真:Getty Images】
DF瀬古歩夢(C大阪)【写真:Getty Images】

冨安はCBで“オーバーエイジ級”の存在感、瀬古がアピールに成功

【センターバック】
― 冨安健洋(ボローニャ)
△ 板倉 滉(フローニンゲン)
◎ 瀬古歩夢(C大阪)
○ 渡辺 剛(FC東京)
○ 町田浩樹(鹿島)
― 橋岡大樹(シント=トロイデン)
― 田中駿汰(札幌)
― 立田悠悟(清水)
― 伊藤洋輝(磐田)
― 大南拓磨(柏)ほか

 鉄板なのは今回U-24で唯一A代表に招集された冨安だ。韓国戦、モンゴル戦でも安定したプレーで無失点勝利を支えた。森保監督も冨安に関しては連係面に全く不安はないと強調しており、存在感はオーバーエイジ級だ。

 18人枠で純粋なセンターバック(CB)に割かれるのは3バックを想定しても3枚まで、あとは他ポジションとのマルチでカバーする可能性が高い。今回のシリーズで最もアピールに成功したのは瀬古だ。現在20歳で、昨年の成長がCBの中では誰より大きかった。29日の第2戦ではFW林の先制点をアシストしたスーパーパスに加えて、的確なカバーリングで何度もチームを救っており、デュエルでも相手の194センチFWアドルフォ・ガイチに競り負けなかった。

 板倉に関してはボランチとのマルチで計算できるので、18人枠の序列は高いが、本職のCBをもう1枚選べる。1戦目に出た渡辺剛と2戦目で勝利に貢献した町田は、現時点で甲乙付け難い。渡辺剛は失点シーンでガイチをフリーにしてしまったが、そもそも板倉がMFマティアス・バルガスに左サイドをえぐられた影響が大きい。それでも即時の判断で対応はしてほしかったが、チーム全体が低調だったなかでは悪くなかった。

 それでもアルゼンチン戦のアピール度に限れば、町田がやや上回る。町田の場合は左利きというスペシャリティーがあり、3バック左など戦術的な幅を広げる効果は大きい。アルゼンチン戦では立ち上がりこそ守備面で難しい状況を招くシーンが見られたが、後半は安定しており、そこの印象は良かったはずだ。

 橋岡は防疫の事情で招集できなかったと想定されるが、このチームでは4バックのCBでテストされる機会がなかなかなかったので、現在もサイドバック(SB)枠なのか難しいところ。ただ、いずれにしてもマルチなポジションをこなせることは18人枠を考えるうえで大きなアドバンテージであり、彼の主戦場がCBとされるとスペシャリストの渡辺剛あたりも黄色信号になる可能性はある。

 怪我で離脱した田中駿汰は4バックではボランチがメインになるので、CBで起用されるとすれば3バックの場合。SB候補の菅原や古賀も3バックならCBのチョイスに入ることで、枚数を確保することになりそうだ。

河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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