東京五輪世代「ポジション別最新序列」 サバイバル激化、“当確”に近づいた選手は?

MF相馬勇紀(名古屋)【写真:Getty Images】
MF相馬勇紀(名古屋)【写真:Getty Images】

熾烈な2列目で軸となった久保、相馬もアピールに成功…堂安、三笘の立ち位置は?

【2列目】
◎ 久保建英(ヘタフェ)
― 堂安 律(ビーレフェルト)
△ 三好康児(アントワープ)
◎ 相馬勇紀(名古屋)
△ 三笘 薫(川崎)
○ 食野亮太郎(リオ・アヴェ)
△ 旗手怜央(川崎)
△ 渡辺皓太(横浜FM)
― 遠藤渓太(ウニオン・ベルリン)
― 金子拓郎(札幌)
― 荒木遼太郎(鹿島)
― 森島 司(広島)
― 安部柊斗(FC東京)ほか

 久保が攻撃の中心であることを知らしめたアルゼンチン戦だった。1試合目は三笘、三好との関係を上手く構築できなかったが、それでも個で違いを生み出すシーンは少なくなく、2戦目はボランチや1トップとの距離感も良く、食野とのポジションチェンジなど興味深い工夫も見られた。CKのキッカーとして板倉の2発をアシストできたのも好材料だ。

 その久保に勝るとも劣らない存在感を見せたのは相馬だった。1戦目は負けている後半にタイミングの良い仕掛けでアルゼンチンを脅かし、2戦目は左サイドの飛び出しから多くのチャンスを作った。運動量も豊富だったが、課題はファーストタッチで、そこがピタリと合っていたらゴールやアシストという明確な結果につながっていたはずだ。

 10番を背負った三好は周囲との関係構築が上手くいかず、個人でも突破より回避のドリブルが目立つなど、やや期待外れだった部分はある。しかし、1戦目の問題点を最も的確にコメントしていたのが他ならぬ三好だったので、2戦目に向けた話し合いでは中心的な役割を果たしたのではないか。その2戦目は終盤から久保に代わっての出場だったが、攻めながらリードを維持する最低限の役割は果たした。

 三笘はあまりに期待を背負いすぎてしまった側面もある。周囲も困ったら三笘という形になってしまい、あまり有効ではない状況でボールを持つシーンが多かった。2列目でも個人能力が際立った存在であることは間違いなく、メダル獲得の切り札として強力なオプションとしてチームに組み込めたら良いだろう。ただ、少なくとも組織のパーツとして相馬よりやや序列を下げたのではないか。3バック採用なら、2人のセット起用も面白いが……。

 食野の場合は本質的にストライカーであり、他の2列目の選手とはタイプが異なる。1トップ、右サイド、トップ下のどこでも起用でき、アルゼンチンとの2戦目では久保とポジションチェンジを繰り返しながらフィニッシュにも顔を出すなど器用なところも見せた。前線でスタメンでもジョーカーでも起用できるメリットが重視されれば、18人枠に残る可能性は十分ある。ただ、今回は辞退となった堂安を組み込んだ場合、タイプはともかく、ポジション上は被ってしまうところもある。

 その他では旗手は左SBと、渡辺はボランチと2列目以外のポジションで起用できる強みがあり、全体の編成次第で序列が変わってくるところもある。逆転があるとすれば欧州組の遠藤がウニオン・ベルリンで出色のパフォーマンスを見せた場合か。Jリーグでブレイク中の荒木は、このチームでは未招集ながら興味深い存在。中断前まで常連だった森島や年末の合宿に呼ばれた金子も、自チームでスペシャルなアピールが求められる。

河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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