「史上最強」の日本代表が韓国を圧倒 香川、本田らが達成した日韓戦“37年ぶり快挙”

2点目のゴールを決めた本田圭佑は抜群のキープ力で日本の攻撃をコントロール【写真:Getty Images】
2点目のゴールを決めた本田圭佑は抜群のキープ力で日本の攻撃をコントロール【写真:Getty Images】

【識者が選ぶ日韓戦“三番勝負”】2011年8月10日:国際親善試合「日本 3-0 韓国」

 2010年にアルベルト・ザッケローニを新監督に迎えた日本代表は、上げ潮ムードに満ち溢れていた。就任初戦でリオネル・メッシらフルメンバーを揃えたアルゼンチンに勝利(1-0)すると、翌11年早々にはアジアカップを制覇。5勝5分と無敗のまま、同年8月に札幌で韓国と対戦した。

 香川真司、内田篤人、本田圭佑らが次々にUEFAチャンピオンズリーグ(CL)の舞台を踏み、個々が著しい成長を遂げるとともに組織力を高めつつある状況を見て、韓国代表を率いるチョ・ガンレ監督も「日本は世界最高峰に近づきつつある」と讃えていたほどだった。

 6月のキリンカップでは3バックを試したザッケローニ監督だったが、韓国戦では慣れ親しんだ4-2-3-1(守備時は4-4-2)を選択。GK川島永嗣、DFが右から内田、吉田麻也、今野泰幸までは、ほぼ不動のラインナップで、左サイドバック(SB)には負傷中だった長友佑都に代わって駒野友一を起用。MFもボランチの長谷部誠、遠藤保仁、2列目右から岡崎慎司、本田、香川までが常連で、1トップにはアジアカップで優勝を決めるボレーシュートを突き刺した李忠成が入った。

 序盤しばらくは互角の攻防が続く。韓国は右SBのチャ・ドゥリが精力的な攻撃参加を行い、クロスやミドルシュートで脅かす。一方、日本は厳しく囲まれながらも落ち着いたキープを見せる本田の周囲を、岡崎が活発に動いて開始早々から積極的にゴールを狙った。

 むしろ先に決定機を築いたのは韓国だった。

 前半19分にはガンバ大阪やジュビロ磐田で活躍したイ・グノのクロスを、ク・ジャチョルがフリーでヘディングシュート。その2分後には、トップ下を務める元名古屋グランパスのキム・ジョンウが浮き球のパスを送ると、パク・チュヨンがボレーで合わせたがミートし切れなかった。

 逆に日本は同35分、勝負どころでの質の違いを見せつけるように均衡を破る。韓国のイ・グノが自陣左からドリブルに出ようとすると、遠藤が高い位置でインターセプト。そのままエリア内の李に通し、李がヒールで落とすと相手2人の間をすり抜けた香川がゴール左のネットを揺すった。

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加部 究

かべ・きわむ/1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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