“出遅れた”遠藤渓太、ドイツで浮上の兆し ウニオン監督も評価「確かな選択肢」

状況を変えることができる戦力としてのアピールには成功か

 地元紙「ベルリーナー・クリアー」は、「交代で下がるまで良いプレーを見せていた。ビーレフェルト戦での好プレーが1日限りのものではなかったことを示した。この2試合で遠藤は合計89分間プレー。それまでの24試合における出場時間とほぼ同時間だ」

 一方で、ウニオンのプレースタイルとしてハードワークと1対1の激しさが求められる以上、1対1の場面でボールを奪いきれるかどうか、ボールを奪いきるためにブレーキをかけずに相手に距離を詰めきれるかどうかは今後も課題として残ることになる。

 他の攻撃陣はそのあたりでのチームへの貢献がとても高い以上、遠藤にはそこでも引けを取らないだけのパフォーマンスを見せ、得点機を演出するプレーでアピールし続けていくことが求められるのだろう。簡単な仕事ではない。

 フィッシャー監督はケルン戦について、「前半は良かったと思う。先制点を挙げられる可能性をいくつか作り出した。前半最後に急に相手にゴールを許すことになってしまったが、チームは素晴らしいリアクションを示し、逆転勝利を収めることができた。終盤20分は少し体力も落ちてきたように感じられた。カウンターの場面があったが、上手く最後の状況を作り出すことができなかった。同点にされなかったことに関しては我々のほうに少し幸運があったとも言えるかもしれない」と振り返っていた。

 遠藤が今後もスタメンで起用され続けるかはまだ分からない。それでも状況を変えることができる戦力としてのアピールには成功したはずだ。ウニオンはすでに残留争いをしているチームではない。6位レバークーゼンと勝ち点差わずか2の7位につけており、来季のUEFAヨーロッパリーグ出場権さえ狙えるチームだ。そのチームで出場機会を勝ち取ることができたら、それは素晴らしいことではないか。ここからさらに調子を上げ、ピッチで躍動する遠藤を見たい。

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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