2021年J1リーグ、必見の「移籍組7人」 復活を期す“天才”や未完の大器が新天地へ

FW柿谷曜一朗はセレッソ大阪から名古屋グランパスへ移籍【写真:小林 靖】
FW柿谷曜一朗はセレッソ大阪から名古屋グランパスへ移籍【写真:小林 靖】

柿谷はC大阪を離れて名古屋で挑戦、序盤戦は1トップの主力に?

■柿谷曜一朗(C大阪→名古屋/FW/31歳)

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 アカデミーから慣れ親しんだセレッソ大阪に別れを告げて、JリーグとACLでの躍進を狙う名古屋グランパスに加入した。柿谷にとってはキャリアをかけた移籍であり、天才的なボールタッチとセンスはそのままに、ハードワークをベースとした新天地のスタイルにフィットするためフィジカル強化にも余念がないようだ。C大阪とは異なる環境で「最初の練習からめちゃめちゃキツイ」とオンライン取材の場で語っていたものの、表情は楽しそうだった。

 2列目にはチャンスメーカーのMF阿部浩之や柿谷と同じく新加入のFW齋藤学など、多くのタレントがひしめくが、1トップの主力であるFW金崎夢生が序盤戦は欠場する見込みで、そこに柿谷が入る可能性は高い。金崎とは全くタイプが違うものの、正確なファーストタッチからフィニッシュに持ち込む技術は相手ディフェンスの脅威になりうる。

 当面は長身FW山﨑凌吾と交互にスタメンと途中出場を入れ替えるような起用法も考えられるが、そこでマッシモ・フィッカデンティ監督の評価と信頼を勝ち取れるかどうかが、金崎復帰後の起用法にも影響しそうだ。

■渡邊凌磨(山形→FC東京/MF/24歳)

 ユース年代から期待されながら、プロの壁に当たってきた大器が山形の地で昨季7得点5アシストを記録するなど輝きを放った。長谷川健太監督が4年目を迎えた継続路線のFC東京は、補強もピンポイントとなったが、浦和レッズから加入のMF青木拓矢とともに効果的な働きが期待できる。FC東京が4-3-3であれば右ウイングがメイン、オプションがインサイドハーフとなることが予想されるが、左サイドでも十分に特長を発揮できるだろう。

 湘南ベルマーレのMF中村駿は同時期にモンテディオ山形から移籍した元同僚。本来はチームとしてJ1昇格を目指していたが、残念ながら実現できなかった。山形を離れてからも刺激し合っているようで、FC東京と湘南の試合で2人ともピッチに立てば白熱しそうだ。テクニカルでありながら90分のハードワークをモットーとしており、青赤カラーに適した俊英だ。

■ジョアン・シミッチ(名古屋→川崎/MF/27歳)

 名古屋グランパスに加入した時に風間八宏前監督が絶賛していた技術とビジョンの持ち主で、風間氏がベースを作った川崎フロンターレを新天地に選ぶのはある意味、自然な流れとも言える。名古屋でも試合に出れば存在感を放っていたが、現在の基本スタイルとして川崎のほうがより実力を発揮できると言う声が、多くの名古屋サポーターからもあるほどだ。昨シーズンの主力だったMF守田英正(サンタ・クララ)とはタイプが異なるものの、富士ゼロックス・スーパーカップでは早速フィットした姿を見せた。

 長短のパスを捌く存在感、ボール奪取に加えて注目したいのが空中戦の強さ。名古屋ではしばしば注目されてきたが、川崎のサポーターも実際に観て驚いた人も少なくないはず。相手のロングボールを跳ね返す役割はもちろんのこと、名古屋よりボールを持つ時間が長く、攻撃ポジションが高くなる川崎では飛び出しからクロスに合わせてゴールを脅かすシーンが増えるかもしれない。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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