「日本の運命が変わっていたかも」 元日本代表MFが語る“2010年W杯へのターニングポイント”

「試合途中で観客が帰っていってしまう姿を、実はピッチ上から見ていた」

 0-2で前半を折り返しハーフタイム明けから投入された石川氏は、後半14分にMF中村憲剛のスルーパスに抜け出し、相手GKと1対1となる決定機を迎えるも、シュートは相手GKに弾かれる。同24分にはMF遠藤保仁のパスを受けたシュートは当たり損ねてしまったが、停滞気味の日本にとって石川氏はスピード感のあるプレーは明確なアクセントとなっていた。

 しかし石川氏には、あの試合でプレー以外の部分で頭から離れない光景が残っているという。

「2、3度良いボールが出てきてシュートを決め切ることができなかったことも悔しかったけど、でも、あの時一番ショックだったのは、長居のスタジアムにたくさんのサポーターが足を運んでくれたなかで、試合途中で観客が帰ってしまう姿をピッチ上から見ていたこと。『こんな日本代表はもう見たくない』と思わせてしまって、自分のメンバー入りがどうかとか以前に、それがとにかく辛かった」

 当時のA代表にはMF中村俊輔、中村憲、遠藤ら“出し手のスペシャリスト”が名を連ねていた一方、力強くフィニッシュまで持ち込む“受け手”の不在が課題として挙げられており、石川氏はその解決策として期待が寄せられていた。「セルビア戦では、まさにそういったプレーが求められて、理想の形は作れたけど、ゴールを決め切れなかった。その結果がすべてだった」と言い切った。

「セルビア戦以降、日本代表は守備的戦術に舵を切ったね。サッカーのスタイルをガラッと変えた。あの時、自分が結果を残して、希望の光になるようなゴールを決められていたら、もしかしたら日本代表としても攻撃的な戦術でW杯に挑む覚悟を決めていたかもしれない。でも、そうなった時に本大会ではどういう結果になっていただろなと思い返したりもしている。守備的戦術に切り替えたからこそ、ベスト16まで進んだという捉え方もできるからね」

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