「日本の運命が変わっていたかも」 元日本代表MFが語る“2010年W杯へのターニングポイント”
石川直宏氏が語る、日本代表の運命を変えた2010年4月のセルビア戦
歴代の日本代表は、その活動の中で様々なターニングポイントを迎えてきた。2010年南アフリカ・ワールドカップ(W杯)に向けて岡田武史監督が率いていたチームは、大会開幕の約3カ月前となる同年4月7日に国際親善試合のセルビア戦を戦った。この試合に出場した元日本代表MF石川直宏氏は、「日本代表の運命を変えた瞬間に自分が立っていたかもしれない」と当時を振り返っている。
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1998年に初めてW杯本大会に臨んだ日本は、フランスの地でグループリーグ3連敗を喫したが、2002年日韓W杯では開催国としてベスト16進出を達成。しかし、06年のドイツ大会では再びグループリーグ敗退の悔しさを味わった。そして10年南アフリカW杯に向けて4大会連続の出場権を獲得した日本だったが、アジア予選突破後の試合で思うようなパフォーマンスを見せられず、同年2月の東アジア選手権で韓国に1-3と敗戦。世間からの逆風に晒されていた。
南アフリカW杯本大会登録メンバー決定前、最後のテストマッチとして組まれていたのが、このセルビア戦だった。思うようなチーム作りができていないなか、W杯メンバー「23人」の椅子を懸け、当落線上にいる選手たちにとっては最後のアピールの場。その注目選手の1人となっていたのが、前年にFC東京でゴールを量産していた石川氏だ。
「変なプレッシャーは一切なかった。チャレンジャーの立場だったから、重圧は全然なかった。切り札的な存在として(W杯)メンバーに入れたら幸運だなという気持ちでいた」
当時の心境をこう振り返った石川氏は、2009年シーズンのJ1リーグで24試合15得点の活躍を見せJリーグベストイレブンにも選出。当時の日本サッカー界では最も“ホット”な選手の1人だった。しかし、セルビア戦は0-3と惨敗を喫することになった。
「自分がメンバーに入るのかどうか関係なしに、日本代表が南アフリカに向かおうとしているなかで、ピッチ上での目指すべき姿においてチーム全体に迷いを感じた。そこで突き抜けられる能力を見せられたら自分も入る可能性はあったし、自分が入ること以上に、日本代表がW杯本大会で勝ち上がれるチームにいかにできるかが最も大事だったと思うから、その力になれるためにベストを尽くそうという感覚だった」