昌平の“1年生レフティー”、技巧派集団で貫録十分 「フィジカルは誰にも負けたくない」

昌平の1年生レフティーMF荒井悠汰【写真:河合 拓】
昌平の1年生レフティーMF荒井悠汰【写真:河合 拓】

1年生MF荒井悠汰、カットインから左足一閃で選手権初ゴール

 浦和駒場スタジアムで3日に行われた第99回全国高校サッカー選手権3回戦で、新シーズンのJリーグに4人を送り込む埼玉の雄・昌平は、初めて全国の舞台に登場した創成館(長崎)を3-0で下し、準々決勝で第88回大会王者の山梨学院(山梨)と顔を合わせることになった。

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 決勝点となる鮮やかな先制ゴールを挙げたのは、1年生レフティーのMF荒井悠汰だった。

 今年度は昨年5月に予定されていた関東高校大会予選、7月のインターハイ予選がともに新型コロナウイルス感染拡大により中止。昌平にとって新年度最初の県内公式戦となったのが、昨年10月24日に行われた今大会の埼玉県予選初戦の3回戦だ。その試合で174センチ、70キロの筋骨隆々とした荒井が昌平での公式戦デビューを飾った。

 相手は第97回大会の県予選決勝で敗れた伝統校の浦和南。がっしりした体格の選手が揃い、フィジカルと走力は埼玉でも上位に数えられるチームなのだ。

 トップ下を任された荒井は、重心を低く保ち背筋を伸ばした独特の体勢でプレーした。ボールを保持するなか、屈強な相手の上級生が激しく体を寄せてきてもぐらつかないし、びくともしない。ほとんど体勢を崩さず次のプレーに移行していた。

 今大会では1回戦から3回戦まで先発を続けているが、全国に出てくる相手にも怯むことはないのだろうか。

「フィジカルは学年とか関係ないので、誰にも負けたくないです。この大会でぶつかられても負けていないので、フィジカルの強さには自信がつきました」

 藤島監督も「フィジカルコンタクトが強く、体をぶつけても相手を利用してプレーできる」と、その頑強な肉体に目を細める。

 創成館戦の前半17分だった。右サイドでボールをキープし、対面するマーカーを巧みなフェイントでかわして中央にもぐり込んだ。そこから少し運びペナルティーエリア手前、右45度あたりから左足で「コースを狙っただけ」という一撃をゴール左上に打ち込む。「第99回選手権」という括りでは、県予選から数えて7試合目で記念の初ゴールとなった。「まさかあんなにいい形で決まるとは思いませんでした。勝てて素直に良かった」と謙虚というか、ささやかに喜びを口にした。

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河野 正

1960年生まれ、埼玉県出身。埼玉新聞運動部で日本リーグの三菱時代から浦和レッズを担当。2007年にフリーランスとなり、主に埼玉県内のサッカーを中心に取材。主な著書に『浦和レッズ赤き激闘の記憶』(河出書房新社)『山田暢久火の玉ボーイ』(ベースボール・マガジン社)『浦和レッズ不滅の名語録』(朝日新聞出版)などがある。

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