南野拓実の少年時代 生粋の負けず嫌い…反骨心で磨かれた高精度スキル誕生秘話【ルーツを辿る】
【不定期連載|第1回】南野拓実(リバプール/日本代表):小学生時代に通った“サッカー塾”コーチが語る努力家の顔
日本代表選手はどのような道を歩んでトップ選手まで上り詰めたのか――。日本代表戦士の原点を探る不定期連載「ルーツを辿る」の第1回は、現在プレミアリーグの強豪リバプールに所属するMF南野拓実に迫る。小学生時代に通った“サッカー塾”の「クーバー・コーチング・サッカースクール」で、当時指導に当たっていた丸野一博コーチ(現門真校・光明池校スクールマスター)に少年時代の南野の様子を聞いた。世界最高峰のクラブに移籍するまでに磨き上げた武器であるターンやドリブル、当時から変わらない反骨心などを明かしている。
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(取材・文=Football ZONE web編集部・小杉 舞)
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身長も小さく、線も細い少年だった。南野が「クーバー・コーチング・サッカースクール」に入団したのが小学3年生の12月。幼馴染の日本代表DF室屋成(ハノーファー)とともにゼッセル熊取に所属しながら、“サッカー塾”として週2回通っていた。フットサルコートで1対1の技術を磨くことに特化しており、ここで南野も数々のテクニックを身につけた。丸野コーチは小学5年と6年の2年間、南野が通っていた岸和田校を担当。当時の第一印象はやはり「負けず嫌い」だったという。
「最初に見た時から負けず嫌い。それはほかの子と比べても目立っていた。勝負事になったら絶対負けたくない。100%の力で勝負する。ただ拓実が他の子と違うのは、奪われた時に100%で奪いにいけること。負けず嫌いな子はたくさんいるけど、上にいける選手は攻撃の後にディフェンスまで100%でいける。本当に勝ちたいんだな、点を取りたいんだなという姿勢は抜きん出ていた」
特に各月の最後にある「ゲームデー」では、スクール生対コーチ陣で対戦する。丸野コーチは「これが彼にとっても印象的だったみたい」だといい、「コーチには絶対負けたくない」と気合を入れていたようだ。勝ったチームは写真が飾られるため、南野は全力でコーチを倒しにきたという。
「彼が高校を卒業してセレッソ大阪に入団する前に一度うちに遊びに来てくれたことがあって、その時にもコーチと対戦した時の話をしていて。『俺ら勝ったよな』と言われました(笑)。こちらとしても、ガチでやらないと彼らは上手なので。拓実は眼の色が変わりますからね。自分より上の存在には逃げることなく、絶対勝ってやると向かってくる」
その気持ちは今でも変わっていない。C大阪時代、ザルツブルク時代、そして今のリバプール時代、決して順風満帆なわけではなかった。クールな見た目と、なんでもスマートにこなす器用さを持ち合わせているため、泥臭い面はあまり表に出ないが、本当は人一倍の努力家だ。丸野コーチは小学生時代に“反骨心”をむき出しにしたエピソードを明かしてくれた。