【加藤未央のダノンネーションズカップ取材記~1日目】夢を追う子どもたちの輝きに魅せられて

人生でたった一回のとびきりのチャンス

 朝起きて、今日はラッキーだと思った。カーテンの隙間から日が差し込んでいて、眩しい。かれこれ1週間くらい前から天気予報をチェックするのが日課になっていたのは、これから始まる2日間がとてもタフな時間になるということを、昨年すでに経験しているからだ。今年もまた「ダノンネーションズカップ in JAPAN」の季節がやってきた。

 思っていたよりも暖かそうだなんて楽観していたのも束の間、駒沢オリンピック公園の会場に着く頃にはすっかり曇天となっていた。「未央さん、今来たんですか? さっきまでここは雪がちらついていたんですよ」と、顔馴染みのスタッフの一人が開口一番で教えてくれる。

 この日の最高気温は12℃。ベンチコートを羽織った子どもたちで溢れ返っている様子が、その寒さを一段と際立たせていた。その中に、フェンスにへばりつくようにしながら、目の前に広がるまだ誰もいないピッチをじっと見ている子どもがいた。少しの緊張が私にも伝染してくる。間もなくして、子どもたちはそのピッチに立つ。

 ダノンネーションズカップの日本大会はU-11のサッカー大会ということで、出場する子どもたちの多くは4月から6年生になる子ばかり。つまり、たった一度、その年しか出場できないという子がほとんどというわけだ。この日本大会で優勝を果たせば、日本代表としてフランスで行われる世界大会への出場権を得られる。人生の中でたった一回きりのとびきりのチャンスを、この大会に参加する全ての子どもが持っている。

 開会式で選手宣誓をしたのは、CONFIANÇAのキャプテン・兵子柊太くん。「恵まれた環境でサッカーをできることに感謝し、仲間を信じながら一戦一戦を全力で戦います」と堂々と宣誓する兵子くんに、周りの大人からほ~っと息が漏れた。

 冷えきった風に吹きつけられながらも、手を横に伸ばしてピンと立っているユニホーム姿の子どもたち。DJ西尾さんの「ナイスプレー!」のかけ声とともに大会の幕が上がり、会場内ににぎやかなBGMが流れ出す。

 

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