森保J、オーストリア遠征2試合での“懸念点”を海外記者指摘 「戦術的な保守性が…」

パナマ戦とメキシコ戦に共通した“アイデア不足” このまま本大会で勝てるかは「懐疑的」

 パナマ戦とメキシコ戦では、高い位置でボールを握った時とカウンターで攻め込んだ時、ペナルティーエリア付近でのアイデアに欠けるきらいがあった。選手たちはチャンスでもシュートをためらいがちで、DFを剥がすためのオフ・ザ・ボールのランニングも少ない。また、2~3人の選手が同じエリアに走り込んでしまい、シュートのためのスペースをつぶすシーンも散見された。

 そして、過去4試合で最も強敵と言えるメキシコとの一戦では、主導権を握ることもできていない。ディフェンスラインからのパスは中米の雄を突破することができず、ハイプレスを受けて流動的な動きができないままロングボールを放り込むこととなってしまった。さらに言えば、ショートカウンターを始めとしてFWにパスを出せるシーンでも、バックパスを選択する回数が多すぎた。

 今考えるべきは、日本代表の展開するサッカーが現戦力に適しているかどうかだろう。

 良いチーム、良い監督は方針にブレがない。森保監督はパナマ戦で3-4-2-1システム、メキシコ戦で4-2-3-1システムを採用したが、いずれもチームのフィロソフィーは不変であり、この実験は正しいことだったと言える。

 問題は、彼の本質的に保守的なアプローチが日本にふさわしいのかどうかだ。もちろん、アジアカップとW杯に出場することを考えれば、そこに問題はない。しかし、本大会で勝てるのか?

 私は懐疑的だ。それに、日本の目標は絶対的にW杯で勝つことのはずだ。技術的にレベルが高く、競争力のある選手を揃えている一方、戦術的な保守性がチームの飛躍を妨げているのではないか。

 2015年にハビエル・アギーレ監督の後任を探している時、日本サッカー協会(JFA)はマルセロ・ビエルサにコンタクトを取った。合意には至らなかったが、ここが日本サッカーの転機となる可能性はあっただろう。そして今、JFAのお膝元である横浜(F・マリノス)に、世界でも指折りの指導者がいる。

 もしW杯に出場し、ある程度の競争力を保つことがJFAの目標であるなら、現状維持がベストかもしれない。しかし、将来的なW杯での優勝を本気で目指すなら、今から変化を求めていくことも一つの道ではないだろうか。
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(スコット・マッキンタイヤー / Scott McIntyre)



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スコット・マッキンタイヤー

東京在住のオーストラリア人ジャーナリスト。15年以上にわたってアジアサッカー界に身を置き、ワールドカップ4大会、アジアカップ5大会を取材。50カ国以上での取材経験を持ち、サッカー界の様々な事象に鋭く切り込む。

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