森保J、オーストリア遠征2試合での“懸念点”を海外記者指摘 「戦術的な保守性が…」
【海外識者コラム】2試合で1得点に終わり、戦術的に必要な決定力の高いFWも不在
森保一監督率いる日本代表のオーストリア遠征は、パナマ戦が1-0の勝利、メキシコ戦が0-2の敗戦という結果に終わった。親善試合でのパフォーマンスから多くの答えを出すことは難しい。世界的なパンデミックの真っ只中であれば、なおさらだ。しかし、先月と合わせて日本代表が戦った4試合を見れば、懸念される点は明確になってくる。
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前回のワールドカップ(W杯)で、日本は攻撃的で魅力的なサッカーを展開し、(相手の出来や試合のシチュエーションがあったとはいえ)主導権を握ってプレーしたが、それはもはや過去のことだ。
森保一監督が率いる日本代表は、彼がサンフレッチェ広島で築き上げたスタイルに非常に近くなっている。忍耐強く、組織的で、DFとMFでボールを保持し、ワイドに位置する選手のスピードと決定的なフィニッシャーに託すという形だ。そのなかで現状の唯一の問題点は、今の日本代表には佐藤寿人もドウグラスもいないということになる。
個人的な意見を言わせてもらえば、日本のベストなストライカーであるFW鈴木優磨(シント=トロイデン)はその役割をこなし得るが、彼はベルギーでテレビ観戦を強いられている。元鹿島のストライカーは、まさに日本が必要とする選手のはずだ。アグレッシブで決定的、そしてゴールに飢えている。一方、彼の異端とも言えるスタイルが、森保監督の厳格な戦術にフィットするかは未知数でもある。
先月のオランダ遠征での2試合で生まれたゴールは、植田直通による試合終盤のヘディングのみ。そして今回の2試合では、パナマ戦の後半に南野拓実が決めたPKだけだ。無論、大迫勇也も堂安律も今回の遠征には呼べず、彼らがいれば違いを作り出していた可能性もある。しかし、日本のアタッキングサードでのプレー自体、優れていたとは言いがたい。
日本は非常に組織立ってプレーしており、守備は強固だ。規律正しいプレーはポゼッションを失った際の帰陣とディフェンスラインの再形成のスピードは素晴らしかった。とはいえ、攻撃との兼ね合いを考えると、カウンター頼りになってしまう面は否めない。その場合、チャンスの数は限られたものにしかならず、非常に高い決定力を求められることになる。
残念ながら、そこに決定力はなかった。
スコット・マッキンタイヤー
東京在住のオーストラリア人ジャーナリスト。15年以上にわたってアジアサッカー界に身を置き、ワールドカップ4大会、アジアカップ5大会を取材。50カ国以上での取材経験を持ち、サッカー界の様々な事象に鋭く切り込む。