3人合わせて「111歳」 甲府のベテラン3バックが今でも輝ける理由とは

キャプテン山本を成長させた知将との出会い

 山本は09年から8シーズン連続で甲府のキャプテンを務めている。土屋は「賢いし、はっきり物事を言える人間。チームに不可欠な存在です」と信頼を寄せる。津田は「人間としてもプレーヤーとしても大きくなった」と一目置く。

 そんな絶対的な大黒柱も甲府を離れるか迷った時があった。4年ぶり3度目のJ1を戦い、1年でのJ2降格が決まった11年シーズン終了後だった。キャプテンとして初めて味わう屈辱。「1年で落ちるのは何か問題があったからだと思う。チームをまとめられなかった。力の無さを痛感しました」。けじめをつけるつもりだった。

 翌12年の監督就任が決まっていた城福浩氏(現FC東京監督)とクラブ事務所で偶然会ったことが、移籍を思いとどまる一つの要因になったという。

「立て直すなら、若いチームの方がいいし、自分の居場所も無いと感じていますと話した。そうしたら、ポジションは確約しないけど、力のある人間が試合に出るべきで年齢は関係ない。一緒にやりたいと言われた。ここにいていいんだと思った」

 12年8月19日のJ2第29節、アウェーのカターレ富山戦は転機となった。先制されていた前半27分、ラフプレーで一発退場となった。後半5分に同点に追い付き、最終的に24試合に伸ばす不敗記録を11としたが、連勝は6で止まった。

「その時は城福さんにすごく怒られたんですけど、翌日謝りに行ったら笑っていた。そして、みんなに次から退場者が出たら監督も主将も罰金を払うと言われた。記録を止めていたかもしれない退場だったけど、追い付いてくれた。そこから、ファウルをしないでボールを取ろうと考え始めた」

 キャプテンとしての責任感が強くなっただけでなく、危険を予測し、準備する判断力をさらに磨くきっかけとなった。「成長したとしたら最近だと思う」。山本が3バックの中心に君臨しているのは、この退場があったからでもある。

 

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