神戸の東京五輪世代DF、今季初スタメンで好機演出の“背景” 「うまくハマった」
浦和戦で今季リーグ戦初先発した神戸DF初瀬、鋭い突破からのクロスで先制点を演出
今季リーグ戦で初スタメンとなったヴィッセル神戸DF初瀬亮は、23日のJ1第12節アウェーの浦和レッズ戦で強烈な左足クロスで先制点をアシスト。雌伏の時を経て強烈な個性を見せた。
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神戸は8月16日から10月4日まで全ての週末と水曜日に公式戦が入る過密日程に突入し、これが3試合目となった。元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタが負傷欠場したこの浦和戦で、トルステン・フィンク監督はスタメンを9人変更する大胆な起用を見せた。そこでチャンスを掴んだ1人が初瀬だった。
左サイドバックに入った初瀬は前半15分、タッチライン際に開いてMFセルジ・サンペールからミドルパスを受けると、距離を詰めにきたMF長澤和輝を鋭く縦にかわし、最終ラインとGKの間にシュートかと思うようなスピードの低いクロスを入れた。これにニアサイドでFW藤本憲明が飛び込んで浦和DFトーマス・デンと競り合って潰れると、ファーサイドに抜けたボールをFW小川慶治朗が難なく押し込んだ。
他にも似たようなクロスが何本かあり、やや距離のあるところからでも浦和GK西川周作をひやりとさせる直接フリーキックも放った初瀬は、この日の出場選手に応じた自身のプレーと、浦和戦という意味での事前のイメージをシンクロさせることができたと振り返った。
「僕がサイドに居る中で意識することは、ドウ(ドウグラス)がいるのか、ノリくん(藤本)がいるのかを判断材料として持っていて、今日の先発だったノリはニアに突っ込んで触るのが得意な選手なので、試合前からあそこには速いボールを入れていくと話していました。それを警戒すればファーが空いてくるというのは、自分も浦和の試合を観ていて思っていたので、そこはうまくハマったかなと思いますね」
浦和は8日の名古屋グランパス戦(2-6)など失点がかさんだ試合では、右サイドから攻められて最終的にファーサイドでゴールを奪われるというのがパターン化していた。そのスカウティング通りとなった先制点を導いた初瀬は「しっかりチャンスを作っていくことによって自分の評価も上がると思う。攻撃のところで持ち味を出したと思いますし、足りないものをもっと伸ばしていけたら」と、次への意欲を新たにしていた。
初瀬は昨年に下部組織から育ったガンバ大阪を離れて神戸に移籍したものの、シーズンの半ばでJ2のアビスパ福岡へ育成型期限付き移籍となる悔しいシーズンとなり、神戸の初タイトルになった天皇杯優勝も、その時点での所属選手ではなかった。今季も苦しい時期を過ごしてきたが、この浦和戦は左右両足のキックに定評がある東京五輪世代の初瀬にとって、大きなターニングポイントになる可能性を秘めている。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)