手倉森ジャパンで輝いた2人の若きボランチ 川崎で待ち受ける次なる戦いの舞台へ

アジア制覇を経験した若者たちが川崎の肝に

「アジアチャンピオンとして帰ってきたことで、自分たちを見る周りの目は、かえって厳しくなると思っている。自分が求められているのは、ボールを触って前に出る動き。まずはそこから」

 練習後にそう語った原川は、「アジア王者」の看板を掲げることによって上がるハードルの高さを認識し、浮かれた様子を見せなかった。

 一方、大島は「リキ(原川)とは、奈良(竜樹)を含めドーハでも常に一緒に行動していて、食事も同じテーブルでとっていた。こっちに帰ってきてもそれは同じで、帰ってきたからといって関係性も変わらないし、ポジション争いもリキとだけではないので」と、リオ五輪最終予選での活躍とクラブでのプレーを切り離し、日々のトレーニングに取り組んでいる姿勢を示していた。

 それでも、「アジアで優勝して表彰式に立った時、この気持ちを川崎でも(味わいたい)、という思いが胸にこみ上げた」と、悲願のタイトル獲得を目指すクラブに栄冠をもたらしたいとの強い意欲も覗かせた。今年で創立20周年を迎えた川崎にとって、アジア制覇を経験して帰ってきた若武者たちが、今シーズンのチームの肝となるのかもしれない。

【了】

城福達也●文 text by Tatsuya Jofuku

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

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