プロ未経験の日本人、なぜメキシコ五輪代表コーチに? 「今に見ていろ」の反骨心と“固い絆”

U-23メキシコ代表のハイメ・ロサーノ監督【写真:Getty Images】
U-23メキシコ代表のハイメ・ロサーノ監督【写真:Getty Images】

41歳ロサーノが西村氏を選んだ理由 「情熱を見て『こいつだ』と思ったそうです」

 タッグを組むロサーノは現役時代、MFとしてプーマス、ティグレス、クルスアスル、モレリアなどでプレー。メキシコ代表として34試合に出場し12得点を挙げている。05年にはコンフェデレーションズカップ、04、07年にはコパ・アメリカにも出場した。04年にはアテネ五輪も経験しており、引退後はメキシコだけでなくスペインでも指導者としての勉強を積んでいた。

 そんな41歳の若き指導者が、相棒としてプロ経験のない日本人コーチを選んだのはなぜなのか。西村さんは、ロサーノからこんな話をされたことがあるのだという。

「指導者学校を卒業した時に、彼は奥さんから誰をコーチとして連れていくのか聞かれ、『今、知っているなかなら亮太を連れていく』と答え、ずっと目をつけてくれていたそうなんです。仕事に対する姿勢、分析から練習への落とし込み、現場でのコーチとしての仕事ぶり、情熱を見て『こいつだ』と思ったそうです。確かに、やる気だけはありましたね」

 19年6月にフランスで行われたトゥーロン国際大会では、メキシコはアイルランド、中国、バーレーンと同組のグループリーグを2勝1分、無失点の2位で突破。準決勝では2-2から日本にPK戦の末に敗れたが、3位決定戦ではアイルランドにPK戦で勝利し、3位の座をつかんだ。

 19年7月から8月にかけてペルーのリマで行われたパンアメリカン大会でも、メキシコはアルゼンチン、パナマ、エクアドルと同組になったグループリーグで、アルゼンチンを下すなど、2勝1分のグループ1位で準決勝に進出。準決勝ではホンジュラスにPK戦で敗れたが、3位決定戦でウルグアイを破り銅メダルに輝いた。日本とは19年9月にメキシコでも対戦。0-0で引き分けている。

「ここまでやってきての手応えはあります。始めた頃よりもチームとして確実に成長している。僕らのやりたいサッカーが形になって見えてきている。代表は短い準備期間で大会、試合に臨まなければなりませんが、選手個々のコンディションがそれぞれ違うなかでも、効率良くやりたいサッカーが落とし込めていると思う。U-23の選手はだいたいが1部のチームでレギュラーを張っているので、平日の試合と重なると、国内合宿だけでもクラブが選手を貸してくれない時もあるんですが、そんななかでもすごく成長したと思います」

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