温泉街で闘った伝説の“泣き虫”監督、J2群馬で17年ぶり再出発 「夢の続きを追いかけたい」

ザスパ草津時代の奥野監督(前列右端)。小島コーチ(後列左から2人目)らとJFL昇格を目指して戦った【写真:サポーター提供】
ザスパ草津時代の奥野監督(前列右端)。小島コーチ(後列左から2人目)らとJFL昇格を目指して戦った【写真:サポーター提供】

背番号「31」は永久欠番、JFL昇格への2年間は「大きな財産となった」

 Jリーグ昇格という情熱だけを頼りに、2002年に群馬県リーグ1部へ参戦したチームは14勝0敗で完全優勝し、Jリーグへの最初の関門だった関東2部リーグ昇格戦に勝利した。

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 翌2003年には同リーグで優勝し、「Jリーグ加盟を標榜するクラブに対する優遇措置」、いわゆる“飛び級制度”によって、JFL昇格をかけた「全国地域リーグ決勝大会」(現・全国地域サッカーチャンピオンズリーグ)に出場。10日間で6試合という過酷な日程のなか、奥野、小島らが満身創痍のプレーをみせて見事に優勝。チームは最短距離でJFL昇格を果たした。奥野は涙ながらにスタンドへ上がり、サポーターと喜びを共有。それは、Jリーグ昇格の夢が現実に近づいた瞬間だった。

「あの戦いは、選手としても指導者としても二度と経験したくないほど過酷だった。それくらい、精神的にも肉体的にも追い詰められていた。負ければ終わりだと思って、1分1秒を戦っていた。優勝できた時は、ホッとした。若い選手たちは温泉街で働いていたが、地域に面倒を見てもらったことで、プレー以外でも人間的に大きく成長したし、それが結果につながったと思う」

 だがJFL昇格の興奮冷めやらぬなか、奥野はチームを離れる決断をした。度重なる死闘によって両膝は限界を迎えていた。現役引退を考えているなか、古巣鹿島からコーチ就任の要請を受けたのだった。当時、奥野が保持していたのはB級ライセンス。JFLで指揮を執るにはA級ライセンス以上が必要だった。

「ゼロからスタートしたチームだったので愛着が深かったが、ライセンス問題や指導者としての将来を考えた時に、鹿島へ戻ってもう一度学ぶ必要があると思った。あの2年間は、“その日暮らし”だったが、振り返ると充実していて、サッカー選手としての大きな財産となった」

 奥野は、クラブを県リーグからJFLへと昇格させてチームを去った。彼が背負った背番号「31」は永久欠番となり、その存在はレジェンドとなった。

 チームは、翌04年のJFLで3位となり、悲願のJ2昇格を決めた。ザスパ草津は、地域密着型クラブがJリーグの扉を開く先駆けとなった。道なき道を切り拓いたことが、後発の新興クラブに希望を与えたのは間違いないだろう。

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