長谷部誠、“緊急出場”で好パフォーマンス 「安定感もたらした」と監督賛辞…再浮上なるか
【ドイツ発コラム】5-0と大勝したアウクスブルク戦、前半30分にスクランブル出場
元日本代表MF長谷部誠と日本代表MF鎌田大地が所属するフランクフルトは、現地時間7日に行われたブンデスリーガ第21節でアウクスブルクとホームで対戦し、5-0と大勝して勝ち点28の9位へと順位を上げた。
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この日スタメンから外れていた長谷部は、キャプテンのDFダビド・アブラハムが股関節を痛めたことで、前半30分から早々に途中出場。アップ時間もほとんどないなかでのスクランブル出場となったわけだが、そこはベテランの味をしっかりと見せてくれた。
アブラハムに代わってキャプテンマークをつけてピッチに立つと、すぐに攻守のバランスを取りながら中盤でゲームをコントロールしていく。その質の高いプレーぶりに、アディ・ヒュッター監督は試合後の記者会見で「マコトはチームに安定感をもたらしてくれた」と、素直に賛辞の言葉を送っていた。
「(交代で)入る時は少し難しさを感じましたけど、その前に試合の流れというか展開を見て、自分が入ったらこうしようというのは考えながらやっていたので。スムーズには入れたかなと思いました」(長谷部)
4-3-3システムのアンカーに入った長谷部が狙っていたのは、中盤での起点作りだ。両チームのシステムの噛み合いから中盤で上手く数的有利が作れていたはずのフランクフルトだが、序盤はそこを生かせずに、ロングボールを蹴り込むシーンが少なくなかった。
「中盤のところで数的優位になっていたので、しっかりと自分のところでボールを受けて、前を向いてしっかりつなぐと。そういうところでゲームのリズムを作ろうかなというのはありました」
その言葉どおり、長谷部は中盤の底で落ち着いてゲームをコントロールしていく。テンポ良くパスを展開するだけではなく、時折あえて攻撃のスピードを遅らせて、自分たちのリズムを作り出す。アウクスブルクが終始フリーになる長谷部のところに最後まで手立てを講じられず、後半そのまま崩れていった部分はあるものの、無失点&大量得点で勝利できたことは、リーグ後半戦で巻き返しを図るチームにとって間違いなく大きな結果となった。リーグ戦ここ3試合で勝ち点7、DFBポカールではRBライプツィヒを下して準々決勝に進出している。2020年に入ってまだ負けがない。長谷部もチームの好調さを感じている。
「監督も言ってますけど、システムどうこうというよりは、みんなが戦術的にもしっかり規律を持ってやっているし、みんな走っているし、戦っているし、やることはハッキリしている。前半戦の最後、疲れから体と頭がなかなかフィットしていない、動けていない感じがあったので」
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。