長谷部誠、“緊急出場”で好パフォーマンス 「安定感もたらした」と監督賛辞…再浮上なるか

「こういう経験はヴォルフスブルクで、もう嫌というほどしていた」

 冬の準備期間で十分な練習時間を持てたことで、チームはようやく本来の力を出せるようになっている。そんななか、長谷部の立ち位置は、前半戦とはまた変わってきている。3バックから4バックへとシステムが変更され、今は常時スタメン出場というわけではない。そんな時に、自分がやれることはなんだろうか。

 これまでに様々な経験をしてきた。誰よりも、出場機会を得た時に納得のいくパフォーマンスで結果を残すことの大切さを知っている選手だ。

「後半戦に入ってシステム変更とかでチャンスが少なくなって、チームも結果が出ていたので。そんななかで、なかなか(出場メンバーが)変わらないだろうなっていうのがあった。ただ、こういう連戦の時にチャンスが来るのかなって。(そして)本当にチャンスが来た時につかまないと、次はないと思っていた。だからこの2試合で、出て勝ったっていうのは、個人的には大きかった。

 自分のプレー自体は、まだまだ全然上がるとは思ってるんですけど、印象としてはチームがやっぱり勝つこと、自分が出て勝つと、やっぱりいい感じにはなると思う。こういう経験はヴォルフスブルクで、もう嫌というほどしていた。自分が出られない時期っていうのもけっこうあったし、とにかくチャンスが来た時にそれをつかむというスタンスでやってきた。そういう意味では最初、試合に出てなかった時も自分ではすごく落ち着いていたし、そういうのも経験から来るものなのかなとは思います」

 フランクフルトは2月に、全部で7試合の公式戦がある。ヒュッター監督も選手を入れ替えながら、この連戦を乗り切ろうとしているはずだ。昨季後半、そして今季前半のように主力が出ずっぱりで疲れを引きずり続けないようにしていくことが重要になる。長谷部、そしてこの日は出場機会が訪れなかったが鎌田にも、重要な戦力として今後必要とされる試合が訪れるだろう。この日、長谷部が見せたように、その時にしっかりとインパクトのあるプレーでアピールしたい。それが必ず、次のチャンスへつながっていくのだから。

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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