ドイツで指導する日本人コーチの「Jリーグ失点分析」 “GK視点”で見たブンデスとの差とは?

JリーグとブンデスリーガのGKで圧倒的な差がある部分とは?

「GKが防ぐことができる、改善できる失点」、「ミスによる失点」の原因の部分で大きな差が出たことは、私が事前に立てた仮説通りでした。その中でも最も顕著だったのが、「GKテクニック」と「ポジショニング」の部分です。私はこの部分に日本とドイツのGKに圧倒的な差があると感じています。

 JリーグのGK、特に日本人選手の多くは、主にゴールディフェンスと1対1のテクニックが不足していました。ゴールディフェンスではダイビングに対する効率が良くなく、ダイナミックさが足りない。つまりシュートに対してダイビングする際に、無駄なステップやプレジャンプが多いためにタイミングが遅れています。わずかにボールに触れることができたとしても、弾ききれずにそのままゴールに入ってしまうシーンが多かったです。

 ブンデスリーガのGKの場合、ダイビングする際に無駄がなく効率がいいので、より力強く、ダイナミックなプレーができています。つまり速いシュートや難しいシュートでも弾き出す、またはキャッチすることができているのです。日本のGKにこれらのことができないのは、育成年代のトレーニングでステップワークが多すぎるために、肝心なダイビングにフォーカスできていないことが原因だと考えています。ダイビングをする際に最初の一歩をどこに出すのか。斜め前、横、両足の間、それとも一歩出さずにそのままダイビングをするのかなど、局面によってどうすべきかを知ることが重要です。

 1対1のテクニックに関しては、JリーグではGKの寄せが甘いシーンが散見されました。そして、1対1の際にボールをしっかり見ずに、ただ身体を張って両手両足を広げている選手も多かったです。それでは上半身の重心が後ろに下がってしまうため、ボールに触れたとしてもボールがそのままゴールに入ってしまうので、改善が必要です。

 Jリーグの全失点を見ていて、戦術的ポジショニングの悪さも感じていました。DFの背後に対してブレイクアウェイ(※注3)でスペースディフェンスをする準備はできているものの、飛び出せないボールがきてゴールディフェンスに切り替える際のポジショニングが不安定でした。前に出ていくだけでなく、状況によってはしっかり下がることも大切です。

※注3:ドリブルやスルーパスで抜け出した選手に対して飛び出して防ぐこと

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