元Jリーガー澤昌克、財政難のペルー1部ムニシパルに“3度目”の加入 「縁を大切にしたい」

標高3000m以上の高地での試合もあるペルー。コンディション作りに余念がない【写真提供:デポルティボ・ムニシパル】
標高3000m以上の高地での試合もあるペルー。コンディション作りに余念がない【写真提供:デポルティボ・ムニシパル】

富士山より標高の高いスタジアムでも試合 長年の経験が生み出した“高地対策”

 18日からは早速、リマ郊外で行われているキャンプに合流した。

「(11月中旬に行われた)去年の最後の試合の後もずっと動いていたので体も動くし、筋肉痛もない。去年はシーズンの途中からチームに合流しましたが、開幕前のキャンプから参加しないと、チームのシステムに合わせてプレーするのは難しい。自分はスーパーマンではないので、シーズンの途中からでは救世主にはなれないと感じた。だから今年はキャンプが大事」と、戦術理解の大切さを口にする。

 怪我をせず、1年を通してプレーすることの大切さももちろん理解している。

「年だからかもしれないが、最近怪我が多い。去年も太ももの肉離れや足首痛がありましたが、選手としてもう少し(現役で)やりたい。1年間を通して試合に出られるように、コンディション作りには気をつけていきたい」と話す。今年はカップ戦が1月31日、リーグ戦が2月中旬に開幕予定。チームのシステムは4-2-3-1がベースとなるようで、2列目の両サイドを担う澤は27日まで続くキャンプでまずはコンディションを高め、先発の座を狙っていく。

 今年の1部リーグは昨年よりも2チーム増え、20チームで行われる。そのうち、4チームの本拠地が標高3000メートル以上。ペルーならではの標高差との戦いが再び待っている。特に昨季前期の優勝チーム、ビナシオナルは富士山よりも標高の高い約3825メートルの街フリアカを本拠地とし、ホームで無類の強さを発揮している。アウェーチームにとっては引き分けることさえ難しい難所。豊富な運動量を誇る澤でさえ、「高地での試合は息が切れますし、足も張ってパンパンになる。走ろうという意欲も削ぎ落とされる」と顔をしかめる。だが、労を惜しまない献身的な動きができてこそ、自身の特長を活かせることは百も承知。「裏に出たりして走らせてもらったほうが、自分らしさが出る」と、そのプレースタイルはベテランになった今も変わらない。

 そして、高地の過酷な環境でも自身の特長を最大限に生かすために、秘策も編み出した。高地での試合の2日前に無酸素運動を取り入れ、一度体を慣らしておくことで、試合本番での体への影響を少なくするプランだ。

「ジムの自転車メニューで、短時間でスピードを出してこぐと、息が切れるし、足も張る。高地と同じような現象が体に起こることに気付いたんです。それなら、例えば試合の2日前に30秒のトレーニングを何本か入れれば、体もビックリしないと思うんです」

 ペルーリーグでの長年の経験が生み出した、ベテランならではの知恵だった。

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