元Jリーガー澤昌克、財政難のペルー1部ムニシパルに“3度目”の加入 「縁を大切にしたい」

家族と自宅のあるリマに住み、「好きなサッカーができる」ことへの喜びを語った【写真提供:デポルティボ・ムニシパル】
家族と自宅のあるリマに住み、「好きなサッカーができる」ことへの喜びを語った【写真提供:デポルティボ・ムニシパル】

家族と自宅のあるリマに住み、サッカーを続けられることに喜び

 自宅のあるリマでプレーすることは、家族とともに暮らしたい澤にとって、どうしても外せない条件だった。拠点となるスタジアムを持たないムニシパルは、昨年まで2年間はリマから北に約100キロ離れたワチョという街のスタジアムで試合を行っていたが、今年からは再びリマが本拠地となる。

 昨年所属したウニオン・ウアラルは練習こそリマだったが、ホームで試合が行われるたびに、澤は試合前日にリマから約50㌔北にあるウアラルまで車を走らせていた。だが、今回は練習、試合ともにリマで行えるため、ペルー人の妻は仕事に専念できるようになり、子供たちの小学校への送迎は完全に澤の仕事となった。

 というのも、ペルーでは治安面から、子供の学校への送り迎えを親がするのが一般的だからだ。特に外国人は身代金目的で子供が誘拐される可能性があるため、子供を1人で学校に行かせることには危険が伴う。

「18年に柏でプレーした時は単身赴任の形で日本に行きましたが、家族と一緒にいないと心配になって落ち着かなかった。(治安が悪い)ペルーは(子供の送迎に)誰かが付き添わないといけない。リマのチームだと僕が子供たちの送り迎えもできるし、自分も好きなサッカーができる」と、家族とともにリマに住み、サッカーを続けられることに喜びを感じている。

 アルゼンチンのリーベル・プレートの下部組織を経て、05年にペルーの強豪スポルティング・クリスタルでプロサッカー選手としてのキャリアをスタートさせ、ペルーでは今年で10年目となる澤。現地のファンから「エル・イホ・デ・ゴル(ゴールの申し子)」「サムライ」などのニックネームで呼ばれるベテラン日本人FWは、今年で通算6シーズン目となる慣れ親しんだチームを存続の危機から這い上がらせるべく、異国の地でゴールに向かい続ける。 

(福岡吉央 / Yoshiteru Fukuoka)



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