高校選手権“元得点王”が明かす秘話 ホテル下見に欧州キャンプ…40年前の“本気”の理由

高校サッカーの今と昔で何が変化したのか(※写真は開会式の様子です)【写真:Football ZONE web】
高校サッカーの今と昔で何が変化したのか(※写真は開会式の様子です)【写真:Football ZONE web】

元得点王・川添孝一氏が語る40年前の高校サッカー 日々の練習は「準決勝のため」

 第98回全国高校サッカー選手権はベスト4が出揃い、白熱した戦いを展開中だ。前年度王者の青森山田(青森)や3人のプロ内定選手を擁する帝京長岡(新潟)など強豪校が、高校王者を決める最後の戦いに臨む。

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 長い歴史を持つ選手権は、参加する選手たちにとってどのようなものなのか。「Football ZONE web YouTube」では、帝京の一員として1980年1月に開催された第58回高校サッカー選手権に参加し、5得点で得点王に輝くとともに、同校の優勝に貢献した川添孝一氏に、様々な選手権の“秘話”を語ってもらった。

 川添氏が選手権に臨んだ当時と現在では、サッカー界を取り巻く状況も大きく変わっている。近年では高校年代のリーグ戦が整備され、クラブユースも含めた戦いで研鑽を積み、選手権を集大成とする流れが生まれた。しかし、当時は誇張抜きにすべてを選手権に注ぎ込み、決勝進出を懸けた“準決勝”を日々の練習から常に意識していたという。

「40年前は学校の練習が、本当に準決勝のためなんです。1日の中で相手より5倍走るぞ、というのが普通だった。準決勝でベストのパフォーマンスができるようにというのが1年間、続いていました」

 そして、その最たる例として挙げられたのが大会直前の“下準備”だ。宿泊予定のホテルに大会1カ月前に泊まり、「食事、枕の硬さ、ベッドの硬さ。練習試合に行って、何分で帰ってこられるのかのシミュレーションまでやっていました」と川添氏は明かす。さらに遡れば、「鹿児島から帝京に来た時も、5月にいきなり1カ月ドイツでキャンプもやっていました」という。すべてを懸けた大会だからこそ、ありとあらゆる準備を重ねて、本大会に備えていた。

 もちろん、今でも選手たちが選手権に懸ける思いは強い。一方で、サッカー界が選手権の“先”にも大きな広がりを持つようになったことも事実だ。川添氏は40年前と現在の違いを指摘するとともに、今の高校生たちへの羨望も口にしている。

「僕らの時は日本リーグもお客さんが入っていなくて、代表もアジアで勝てないところがあったので、国立競技場にしか目が行っていませんでした。『ここで活躍するんだ』と。そこで夢が止まってしまっていたというのはありますね。今の子たちは世界に出てやれるという、もっと上の段階があると思うので、すごく羨ましいですよ」

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