「このままでいいのか?」 森保采配に金田氏が疑問符「ゲームを変える力を見出せない」

日本代表を率いる森保監督【写真:Getty Images】
日本代表を率いる森保監督【写真:Getty Images】

【2019年日本代表総括】韓国に敗れて1年の戦いに幕、ライバルとの一戦で見えた問題点とは?

 開幕まで残り約7カ月となった東京五輪、そしてカタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選も始まる2020年を前に、日本代表とU-22日本代表(五輪代表)を率いる森保一“兼任監督”への視線が厳しさを増している。12月10日から18日まで韓国・釜山で開催された東アジアの頂点を決めるE-1選手権で、日本は22歳以下の五輪世代を中心としたメンバーで臨み、中国戦(2-1)、香港戦(5-0)と2連勝を収めて優勝に王手をかけたが、最終戦でライバルの韓国に0-1と敗戦。試合内容的にもスコア以上の完敗を喫し、2019年の戦いに幕を下ろした。

 1月のアジアカップに始まり、コパ・アメリカ(南米選手権)への招待参戦、そしてカタールW杯アジア2次予選の開幕に“国内組”のみによる今回のE-1選手権と目まぐるしい1年を過ごした日本代表だが、その活動から何が見えたのか。2019年最終戦となった韓国戦の結果を受けて、かつて「天才ドリブラー」としてその名を轟かせ、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏に話を訊いた。

 E-1選手権のタイトルに王手をかけた18日の韓国戦、日本は負傷離脱したMF橋本拳人(FC東京)以外は初戦の中国戦と同じメンバーで、第2戦の先発組からはMF田中碧(川崎フロンターレ)が加わったのみだった。金田氏は「もちろん、監督それぞれの考えがある」と断りを入れたうえで、「誰もが2試合の結果を踏まえ、優勝のかかった韓国との一戦にベストメンバーを組むと考えていた。第2戦の相手だった香港は、たしかに実力的には中国よりも力が劣る相手。でもその試合で、例えば大島(僚太/川崎フロンターレ)はやはりチームに落ち着きをもたらす配球を見せていて、個人的には韓国戦でもスタメンから試してほしかった。結果的に、JリーグMVPとして注目されていた仲川(輝人/横浜F・マリノス)など、森保監督が“使いきれなかった”選手が多かった印象だ」と振り返る。

 今大会はFIFAが定める国際Aマッチウィークに該当しないため、各国とも欧州クラブに所属する選手を招集することは難しく、日本はすべて国内組で、23人中14人が22歳以下の五輪世代というメンバー構成だった。A代表経験の浅いフレッシュな顔ぶれとなったなか、誰もが期待したのは今後につながる“新戦力の発掘”という部分だったが、その目的を十分に果たせたかは疑わしいと、金田氏は指摘する。

「当然、選手は誰もがアピールしたい、頑張りたいと思ってピッチに立っている。でも、そうした個の能力を発揮できるのはチームという土台があってこそ。これは6月のコパ・アメリカや先月のU-22コロンビア戦、ベネズエラ戦でも感じたことだが、森保監督は選手たちに攻守において同じ絵を描くための戦術、共通理解を与えているのだろうか。韓国戦を見る限り、それが感じられずに不安ばかりが募った」

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