遠藤航、シュツットガルト中盤で磨く“欧州基準”のプレー 「もっとレベルが上がると…」

「前半からプレッシャーが来てもビビらずに前へ運べた」

 チーム2点目の起点を作ったのも遠藤だった。後半14分、自陣右サイドでボールを持つと相手のマークを外して中盤センターでフリーのFWサイラス・ワマンギトゥカへパス。そこから左サイドに展開されると、一度DFが跳ね返したルーズボールを押し上げていた遠藤がヘディングで競り勝ち、そのボールを拾ったMFゴンサロ・カストロがゴール前のゴメスにパスを通す。GKとの1対1を制した元ドイツ代表FWが、左足でゴールを決めた。

「そうですね、最近というか海外に来て自分の中で意識しているというか。もちろん、シンプルにワンタッチでプレーすることも必要ですけど、やっぱり一個プレッシャーをはがして縦につけるとか、そういったプレーって中盤の選手、もっとレベルが上がってくると求められると思うので。後半少し(相手の)プレッシャーが落ちたのもありますけど、前半からプレッシャーが来てもビビらずに前へ運べたりとか。そういうプレーは自分の中で意識しているので、それが2点目の起点になったのは良かったですね」

 狙い通りのプレーに、遠藤の表情も明るい。後半27分にはペナルティーエリア内でパスを受けると、巧みなターンで相手マークを外して右足のシュートに持ち込むなど、最後まで攻守両面で存在感のあるプレーを見せてチームの勝利に貢献した。

 これでシュツットガルトは勝ち点を29に伸ばし、2部リーグ3位につけてはいる。悪くはない。だが、昇格が厳命されている名門クラブにとって安心できる立ち位置ではないのも確かだ。

「今は勝って負けて、勝って負けてになっている。アウェーゲームは大事だし、連勝していかないと。今は順位的に3位にいますけど、やっぱり(自動昇格の)1位、2位。上を争うには連勝が必ず大事になってくると思う。周り(の上位チーム)も今、ちょっと(調子を)落としている分、しっかりあと二つ取って、中断したいですね」

 特に直近のアウェーゲームは3連敗中だけに年内ラスト2試合、第17節ダルムシュタット戦(16日)、第18節ハノーファー戦(21日)とのアウェー2連戦でしっかりと勝ち点を手にしたいところだ。

(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)



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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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