鎌田大地がドイツで味わう「不思議な感覚」 “数字”以外のプレーに見える価値とは?

「ここで試合に出ているっていうのは、幸せに感じないと…」

 今季の鎌田は、ここまでほぼすべての公式戦でスタメン出場を果たしている。そして試合を重ねるごとに着実な成長の跡を残しており、自身も手応えを口にしていた。具体的に、どんな成長を感じるかと尋ねると、こんなふうに答えてくれた。

「開幕戦とかに比べて、当たり負けるシーンだったりが少ないし、ボールを持っても自分の間合いでできて、あまりボールも失わずに起点が作れたりだとか、自分がしたいようにプレーできることが増えてきている。ブンデスの当たり方だったり、どうサッカーをしたらいいのかっていうのは、ある程度分かってきたというか。ほんと自分の間合いでできているなって思うので。今日も僕自身、点を取れなかったこと以外はすごい満足できるものだったと思う」

 今、フランクフルトにおいて試合に出る、それもスタメンで起用されているということは、それだけで十分に高く評価されるべきことだろう。昨季FWルカ・ヨビッチ(→レアル・マドリード)、FWアンテ・レビッチ(→ACミラン)、FWセバスティアン・アレ(→ウェストハム)のトリオが見せた爆発的な攻撃力と比較されながら、ピッチ上でファンから確かな期待をかけられるだけのプレーを見せているのだから――。

 鎌田自身も、シーズン開幕前にここまで順調にいくとは思っていなかったことを明かしている。

「シーズンが始まるまでは、自分でここまでポジションを勝ち取れるなんてあまりイメージがついていなかったですけど。今は上手く、自分自身はできると思っていたなかで上手くプレーで表現できていて、周りからの信頼だったり、監督の信頼も感じているので。去年まで、このチームで試合に出てっていうイメージがあまりなかったですけど、今はこうして出てるっていうのは不思議な感覚っていうか。やっぱりここで試合に出ているっていうのは、幸せに感じないとダメだなって思います」

中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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