リバプール「黄金期到来」の予感 CL制覇による“クロップの覚醒”と好敵手マンCの存在

プレミア王者シティも、シルバを筆頭に高齢化が進んでいる【写真:Getty Images】
プレミア王者シティも、シルバを筆頭に高齢化が進んでいる【写真:Getty Images】

絶頂期に見えるシティにも、わずかながら“陰り”が…

 PSGはカタール王族の無尽蔵とも言える資金を背景に、ネイマールを始めスーパースター補強を繰り返し、フランスのリーグ・アンで無敵となっている。だが、正直このリーグのレベルはプレミアリーグ、リーガ・エスパニョーラ、ブンデスリーガ、セリエAに比べて数段落ちる。そこがまず問題だ。だから国内リーグと、特にCLの決勝トーナメントになってからのインテンシティーの差に対応できず、いつもあと一歩で勝ち抜けない。それに監督の存在感が、新興の金満クラブに集まるスーパースターのエゴを束ねるには弱すぎる。

【PR】ABEMAでプレミアリーグ生中継!三笘所属ブライトンや遠藤所属リヴァプールなど厳選試合を無料生中継!

 レアルにとってCL3連覇をもたらした指揮官ジネディーヌ・ジダンの復帰は朗報だろうが、やはりクリスティアーノ・ロナウド(ユベントス)の穴はなかなか埋まるものではない。ただし、すでにアザールやルカ・ヨビッチを獲得するなど今夏の補強の動きは非常に活発。タブロイド紙では戦力外のギャレス・ベイルとポール・ポグバ(ユナイテッド)のトレード話や、キリアン・ムバッペ、ネイマール(ともにPSG)、モハメド・サラー(リバプール)といった豪華絢爛な選手の名前も踊る。しかし、さらなる大型補強が敢行されたとして、チームとして即機能するというのは少し虫が良すぎる。3連覇当時の輝きを取り戻すには、少々時間がかかると見る。

 アトレチコもアザールを失ったチェルシーと同じく、エースのアントワーヌ・グリーズマンが抜ける。ディエゴ・シメオネ監督の存在感が薄れることはないと思うが、ここ数年チームを支え続けた大黒柱がいなくなるのは決定的にマイナスだ。

 そう考えると、来季CLにおけるリバプールの最大のライバルは、プレミアと同様、シティとなるだろう。ところがプレミア2連覇を達成し、今季は前人未到の国内三冠を成し遂げて絶頂期に見えるシティにも、わずかながら陰りが見える。

 まず来季のチームには、長年主将を務めたヴァンサン・コンパニ(アンデルレヒト)がいない。またシティの中盤をその創造性でリードし続けてきたダビド・シルバが33歳。そして中盤の守りの要とも言うべきフェルナンジーニョが34歳。年齢的にこの2人がキャリアの終盤を迎えていることは明白で、コンパニの退団と合わせて、ピークに到達したチーム力が緩やかな下降線を示し始めている。

[ftp_del]
>>【PR】「DAZN」で観られるコパ・アメリカ2019 日本代表の試合日程はこちらから
[/ftp_del]

森 昌利

もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。

今、あなたにオススメ

トレンド