【日本代表対談|前編】ビーチサッカー茂怜羅オズ×フットサル滝田学 ~結果を追い求めて~

滝田学【写真:Noriko NAGANO】
滝田学【写真:Noriko NAGANO】

滝田「怪我をしないことは良いことだと思って、それにこだわってやってた」

滝田 これだけ日本語がペラペラだと、ブラジル出身の人と話している感じがしないな。日本代表に入ったのはいつ?

オズ 帰化する1年前に、ラモスさんから「手伝って」と言われて、コーチとしてワールドカップ(W杯)予選と、W杯に一緒に行った。2012年12月に帰化して、すぐに選手として代表に入って、今7年目。

滝田 僕が最初に代表に入ったのは2009年だから、もう10年。最初は、若いからちょっと入って、合宿に呼ばれるようになった。外れることもあったけど、最後の大会では入る、みたいな。若い頃は、誰かが怪我して入ることが多かったから、「怪我をしないのは良いことだ」と思って、それにめちゃくちゃこだわってやってた。

オズ 間違いない。でも、すごいね、10年間代表にいるって。

滝田 今のメンバーではたぶん、一番長い。だけど、まだ自分はW杯に出ていない。2016年のアジア予選は、僕としても一番チャンスがあったけど、散々たる結果になってしまった……。だから、この前のビーチのW杯予選を見ていて、凄いと思った。まとまってるのが、映像からも伝わってきた。ああなると、日本はどこの国よりも強いと思う。

オズ いつも思うけど、日本人は技術も頭も使えるし、体力もあるから、あともうちょっと自信がつけば、絶対、海外のチームに負けないと思う。今、ラモスさんが監督に戻ってきて、ラモスさんはそういうメンタルの勢いがすごく強いから、今回もまとめられたと思う。

滝田 メンタルは大事だよ。プレッシャーはどう?

オズ 結構、感じてる。

滝田 背負ってるものはそれぞれあると思うけど、オズは帰化して今は日本人だけど、ブラジルも背負ってるし。

オズ そうね。コーチとして入った時は優勝できたけど、選手として入ってから優勝できてなかった。今回優勝できなかったら、どんどん歳もとるし、「今やるしかない」と思った。見た目はブラジル人って言われるけど、自分は日の丸を背負って、この国のために戦いたい。いろんな人に恩返ししたい気持ちもあるし、それを含めてプレッシャーがあるけど、そのプレッシャーがあるからこそ、楽しむことができる。

滝田 オズはキャプテンっていうのもあるけど、「オズの代表」っていう見られ方をすると思う。もちろん、他の選手も頑張るし、プライドを持ってやってるけど、オズはエースだし、要だし、どうしても背負ってしまう。結果で示してやり続けるのは、やっていけばいくほど、プレッシャーになっていくと思う。

オズ 特にビーチサッカーは、テレビでやらないから、結果しか伝わらない。これまでのアジア予選決勝のPK戦で負けた時も、自分たちはギリギリのところまで頑張ったけど、結果だけ見る人は、「また負けた」って思う。だから、結果がすべて。

滝田 確かに。ビーチもフットサルも見ている人が少ないから、サッカーとはちょっと違うよね。結果だけしか、分かってもらえないからこそ、そこを頑張らないといけない。それはプレッシャーになる。フットサルを始めた時は、「フットサルやってます」って言っても、「フットサルって何?」っていう説明からしないといけなかった。それが、説明がほとんどいらなくなったのは、フットサルが根付いているんだと思う。一方で、競技としてのフットサルは、まだまだ広まっていない。やっぱり代表で頑張らないといけない。年々プレッシャーを感じるようになってきて、「いつ最後になってもいい」って思えるように頑張ってるけど、それでも上手くいかなかったり、緊張したり。オズが「日本人は自信がない」って言ってたけど、僕もそこは足りてない部分。オズは「侍」だよ。

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