日本人GKの強化は“日本代表の進化”に直結 「弱点」を補うために挑むべき攻撃時の改善

(左から)中村、シュミット・ダニエル、権田、東口【写真:Getty Images】
(左から)中村、シュミット・ダニエル、権田、東口【写真:Getty Images】

層の薄い日本のGK事情 ロシアW杯やアジアカップで見えた課題とは?

 日本代表の強化ポイントを一つだけ挙げるとすれば、GKではないだろうか。

 インターナショナルレベルで高い評価を受けているフィールドプレーヤーはいても、GKはいない。Jリーグでも韓国人GKを中心に外国人がポジションを占めている。ポジション別に見た時に、GKは最も層が薄い。ただ、GKが強化のポイントなのは、GKの進化が日本の進化に直結するからだ。

 ロシア・ワールドカップの決勝トーナメント1回戦で、日本代表は2-0とリードしながらベルギーに試合をひっくり返されて2-3と敗れ、ベスト8へ進出できなかった。ベルギーの「空爆」を阻止できなかったのが直接的な敗因だが、マルアン・フェライニやロメル・ルカクを相手に競り勝てるDFを見出すのは容易ではない。しかし、日本がボールを持った時にキープして押し返してしまえば、ベルギーの空中戦の威力を削ぐことはできた。

 毎回ベルギーと対戦するわけではないだろうが、日本の弱点が空中戦という認識はどの対戦国も持っているに違いない。冨安健洋のようなヨーロッパで通用するセンターバックは台頭してきているけれども、ハイクロスへの耐性を上げるとともに、それをさせないプレーに注力すべきである。

 GKのロングキックは敵のボールになる確率のほうが高い。良くて五分五分。GKから確実なビルドカップをできるか否かで、ボール支配力はかなり変わる。ベルギー戦では、GK川島永嗣から確実にパスをつないでいくプレーはあまり見られず、ロングボールを多用していたが、あそこからつないでいければ流れを変えられた可能性はあった。GKだけの問題ではなく、GKからつないでいくプレーをチームとして自信を持って行えていなかった。

 アジアカップでも大きな変化はなかった。準決勝のイラン戦は快勝だったかもしれないが、相手に押し込まれる時間帯もあった。イランの武器が空中戦とミドルシュートだったことを考えると、日本としてはなるべく自陣に引き込みたくない相手だったはずだ。GKからのビルドカップができていれば、押し込まれる時間はもっと少なかっただろう。

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西部謙司

1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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